■あまりにも地味すぎた?
かくして「トレディア/コルディア」は一代限りで消滅してしまったわけだが、最初からマーケットが限定されているスペシャルティカーであるコルディアはともかくとして、トレディアのようにメーカーラインナップの中核を担うはずのセダンがこれだけ不振を極めた例は、めったにあるものではない。主力車種となる使命を担っていながら、実際には三菱史上最悪の失敗作ともいうべき結果に終わってしまったのである。
その原因はいったいなんだったのだろうか。クルマとしての出来が悪かったのか? しかし、トレディア/コルディアの基本レイアウトやメカニカルコンポーネンツの大半は、ミラージュやランサーと共有していたわけだから、この2車だけが落第点を取るということは考えにくい。またカローラやサニーといったライバルと比べ、性能や機能が劣っていたとも思えない。
不振の原因として思い当たることといえば、あまりにも地味な存在だったのではないかということだ。すでにランサーという、広く浸透した名を持つ既存モデルとほぼ同じクラスに投入するならば、もっと強く、明快なキャラクターが必要だったのではないだろうか。アピアランスにしてもそうである。ヨーロッパ風のスタイリングはすっきりとまとまってはいたものの、日本人の嗜好にはマッチしなかったのではないだろうか。
とはいうものの、現在の目で見てもけっして悪いクルマだったとは思えない。個人的にはシトロエンBXの3ボックス版のようなトレディアのスタイリングなど、むしろ好みでさえあるのだが……。<おわり)
(文=田沼 哲/2003年2月10日)