■子供の一言
渋滞中のモスクワ大通り。今までのロシアの都市と違って、サンクトペテルブルクは大都市でクルマも多く、渋滞が慢性化している。前のクルマ「ボルガ」に続いてズルズル走っていると、10歳ぐらいの子供が運転席の窓ガラスをノックしてきた。モノ盗りでもなさそうだから、窓を開けると「タイヤがパンクしているよ」と言って去っていった。
慌てて車外に飛び出し、ペチャンコになったタイヤを見て動転している隙に、クルマから何か盗もうとしているんじゃないか? そんな輩がどこかにいるに違いない。そう思ったわれわれ3人は、殴り込みにでも行くように辺りを睨め付けながら、ゆっくり表に出る。
幸い誰も襲ってこなかったが、可哀想に左後輪のピレリP6は何か鋭いもので刺され、まだシューシューと空気を漏らしている。刺し跡はタイヤのサイドウォール真ん中だし、何かに擦ってもいない。明らかに人為的に刺された傷だ。あの極東の悪路にも耐えてくれたのに、車上狙いの邪悪な刃にやられてしまうとは。