■中も外もほとんどファミリア
そうしたターゲットに向けて開発されたエチュードのデザインテーマは、「ルーミーでリッチなパーソナル空間」。ボディ形式は3ドアハッチバックのみで、サイズはホイールベース2400mm、全長×全幅×全高=4105×1645×1355mm。前述したようにベースとなったファミリアの3ドアハッチバックと比べ115mm長く、35mm低かったが、プロポーションは常識の範囲を超えるものではなかった。
スタイリング上の特徴は、ガラス面積の大きいキャビン。サイドおよびリアウインドウはフラッシュサーフェス化されて連なるような面をみせ、その内側にブラックアウトされたBピラーとCピラーが隠されていた。またリアエンドはプレスによってスポイラー風に整形され、アクセントを添えていた。
総じてエチュードのスタイリングはクリーンでイヤミのないものだったが、反面あまり新鮮とも個性的とも感じられなかった。もっともマツダ自身が「さりげないのに、ハッとする美しさを秘めたスタイリング」を標榜していたように、もともとそういう指向だったのだろうが。
ちなみに『NAVI』1987年3月号に掲載された、エチュード登場を報せる記事には、そのあたりの事情について「コンシールドタイプのCピラーを採用して、スペシャルティカーらしさを演出してはいるものの、フロントから見るかぎりでは、明らかにファミリアに見えてしまう。ところがマツダの狙いは、前から見るとファミリアだが、すれ違ってみると違うクルマだ! というところにあるという」と述べられていた。
そうしたエクステリアに対し、インテリアはファミリアとの差異がさらに小さかった。ダッシュボードの表面にクロス素材を貼ったり、メーターパネルの一部を独自のデザインとしたり、また天井もファミリアのウレタン一体成型に対して布張りとするなどの処理が施されてはいたものの、全体としての印象はファミリア以外の何物でもなく、パーソナルムードには乏しかった。
走りにかかわる部分については、ほとんどファミリアそのものだった。エンジンはファミリアのスポーティグレードであるスポルト16と共通の直4DOHC16バルブ1597cc。後に縦置き用にアレンジされてユーノス・ロードスターにも積まれることになるB6型ユニットだが、最高出力110ps/6500rpm、最大トルク13.5kg/4500rpmという控えめなチューンで、ファミリアにラインナップされていたDOHC ターボや1.5リッターユニットなどは用意されなかった。