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第112回:【Movie】「うしろ指さされ組」と呼ばせない! 地味系フィアット大集会
(09.10.10)
エッセイ
第112回:【Movie】「うしろ指さされ組」と呼ばせない!
地味系フィアット大集会
モンタルチーノを目指すメンバー一行。遠来はイタリア北部から往復1000km! 2009年6月14日開催
今日のお昼は地元ワイナリー「バルビ」のリストランテで。
■
「フィアット・スティーロ」
フィアットに「スティーロ」というモデルがあった。欧州でちょうど「フォルクスワーゲン・ゴルフ」とガチンコ勝負する「セグメントC」というクラスに属するモデルだった。日本にはついぞ導入されなかったので、ご存知の方は少ないと思う。
スティーロは、「先代モデルである初代『ブラーヴォ/ブラーヴァ』の不振挽回」というフィアットによる使命を一身に背負い、2001年ジュネーブショーでデビューした。
まず3ドアと5ドア版が登場し、しばらくしてからワゴンも追加された。しかしタイミングが悪かった。折りしも当時のフィアットは経営危機の只中にあったからだ。フィアット製というだけで、多くのイタリア人はクルマも見ずに「時代遅れ」と決め付けたのだ。
当時フィアット車全体の初期品質が不安定だったのも災いした。国外では「FIATって何の略か知ってるかい? 『Fix It Again! Tony(トニー、もう一度直せ!)』だぜ」という、往年の頭文字ジョークがにわかに復活した。
ちなみにトニーとは、アングロサクソン圏でメカニックを表現するときに多く使われる名前だ。結局スティーロは年間20万台という目標販売台数の、半分にも達しなかった。
エンジニアリングを他社に委託できる部分まで自社内で行ったことによる開発コスト高も、後になってみると重荷となった。そのようなことが重なって、「うしろ指さされるフィアット」になってしまったのである。
かくして2007年に新型ブラーヴォ(エンジニアリングの大部分をオーストリアのマグナシュタイアに委託していた)が誕生すると、まずは3/5ドアモデルが、続いてワゴンが、静かにフィアットの車種ラインナップから消えていった。
「スティーロ」の後継車である新型「フィアット・ブラーヴォ」も参加資格あり。
コンクールの表彰式。右がオーガナイザーの大学生、マッテオ君。
■
フォーラムは4000人超!
そんなスティーロだが、イタリアにはちゃんとオーナーズクラブがある。
「フィアット・スティーロ・クラブ」というその会は、日頃はインターネットを通じて交流している。開設6年で会員数1500人、サイトのフォーラム登録者に至っては4100人という数を誇る。
新車当時カタログにあったアバルト仕様も、もちろんウエルカムである。さらにその後継車である新ブラーヴォも対象だ。
彼らは毎年夏、オフ会的ミーティングを開催しているという。そこで2009年6月、トスカーナの景勝地モンタルチーノで開かれるというので、ボクは覗いてみることにした。会費は昼食・記念品込みで30ユーロ(約3900円)である。
当日参集したのは30台、約70名。動画をご覧いただくとわかるように、彼らはスティーロというクルマに、ライバルのドイツ車勢とはひと味違った個性に魅力を感じている。また、「あのモデルは、このモデルよりエラい」といった序列抗争から解き放たれた自由さが溢れている。なかには、スティーロばかり3台乗り継いだ熱烈ファンもいた。
しかしながら微笑ましいのは、古いクラブのように堅苦しい上下関係や先輩・後輩関係が微塵もないことである。
オーガナイザーのマッテオ君は、ミラノで機械工学を勉強中の大学生だ。 いっぽうで参加者には、40代、50代のおじさんもいる。にもかかわらず年齢を超え、みんな和気あいあいとクルマ談義を繰り広げているのだ。
なんて民主的なんだ、フィアットというクルマは! ボクは身震いしてしまった。その空気を、皆さんもビデオから感じていただければと思う。
(文と写真=大矢アキオ、Akio Lorenzo OYA)
テールゲートのウーファーサウンドをバックに、思わず踊ってしまいましした。
【Movie(その1)】「フィアット・スティーロ」が続々集まってきた!
【Movie(その2)】参加したオーナーにインタビュー
(撮影と編集=大矢アキオ、Akio Lorenzo OYA)
大矢アキオ
コラムニスト。国立音楽大学卒。二玄社SUPER CG編集記者を経て、96年からイタリア在住。現在、雑誌Webのほか、ラジオ・テレビでも活躍中。とくにNHK『ラジオ深夜便』における、0時過ぎの公共放送に相応しくない賑やかな語り口は、ここ数年ヘビーリスナーの間で話題となっている。主な著書に『Hotするイタリア』(二玄社)、『カンティーナを巡る冒険旅行』、訳書に『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(いずれも光人社)がある。近刊は
電子書籍『イタリア式クルマ生活術』
(NRMパブリッシング)。
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