後席への乗降性のために大きなドアを設定すると、スタイルが間のびしてしまう。その解決策、RX-8のスタイリングを成立させたキモが、いうまでもなく、センターピラーをもたない観音開きの「フリースタイルドアシステム」である。単に奇をてらったものではない。
剛性確保および側面衝突への対応のため、ボディ側面、開口部まわりにグルリと、また、リアドア内部にもピラー代わりの補強材が入れられた。そのための重量増は、リアドアをアルミ化することで抑えられた。フル4シーターをスポーツカーらしくするのも楽じゃない。
RX-8の後部座席に座っていると、さまざまな考えが湧き上がってくる。太いCピラーゆえ、絶対的なスペースとは関係なく、閉塞感が強いからだ。考えごとに最適。フロントドアを開けないと、後ろのドアは開かない。つまり、自分ひとりでは出られない。子供が勝手に飛び出さなくていい、ともいえるが、それでは“4アダルツ”のコンセプトに反する。もしや、最初のボタンをかけ違えたのでは、と思わないでもないが……。
以前、オペルでカーデザインに従事している児玉英雄氏が、自動車専門誌『NAVI』の連載で、4ドアクーペを標榜した「ランティス」とRX-8を並べて描いて、「マツダのなかには、“4ドアクーペ”というコンセプトにこだわっているヒトがいるのでは……」と書いていらした。たぶん、広島の自動車メーカーには、スポーツカー好きの“含有量”が異例に高いのだろう。ミニバンでもファミリーカーでも、なんとかスポーツカーにしたい。一定のパイ以上にならない趣味性の強いマーケットを、どうにかしてビジネスと結びつけたい。そんなエンジニアの執念が、RX-8に結実したのでは……と考えているうちに、『webCG』の試乗車が戻ってきた。(つづく)
(文=webCGアオキ/写真=高橋信宏/2003年4月)
・マツダRX-8【短評(中編)】
http://www.webcg.net/WEBCG/impressions/000013096.html・マツダRX-8【短評(後編)】
http://www.webcg.net/WEBCG/impressions/000013097.html