公道のテストドライブに供されたのは、パドルシフトのe-ギア仕様。キーを捻ると、500psの10気筒にアッサリ火が入る。駐車されていた場所の関係で、いきなりバックする必要に迫られたのだが、オシリをシートから浮かせて、中腰になってリアガラスを覗くと、まずまずの後方視界が確保される。
直径36cmの小径ながら太めのリムをもつステアリングホイールを握って走りはじめたとたん、アウトモビリ・ランボルギーニは「やけに舗装の悪いコースを選んだもんだなァ」と感心(?)する。道は、2台のクルマがすれ違う余裕はあるけれど、2m弱の横幅をもつクルマには狭く、そのうえ小さなブラインドコーナーが続くので気が抜けない。
前235/35ZR19、後295/30ZR19というアグレッシブなタイヤ(ピレリ Pzero)を履くベイビィランボは、路面の荒れ具合を正直にドライバーに伝える。しかしボディはしっかりしていて−−ドイツはネッカースウルムでつくられるアルミスペースフレーム・ボディという予備知識があったためかもしれないが−−「ビィィン!」という一種独特の反発を感じさせて、サスペンションからのぶしつけな入力を跳ね返す。
ガヤルドの4輪ダブルウィッシュボーンには、Koni社の開発になる「FSD」と呼ばれる減衰力自動調整タイプのダンパーが採用された。これは、メカニカルにダンピングを「ハイ」と「ロウ」に切り替えるもので、道路からの入力が細かいと柔らかく、大らかなときには硬めに設定される。街なかでの乗り心地と、高速での安定性の両立を図ったわけだ。バレルンガ周辺の公道テストでは、明らかに前者のモードだったはずだが、それでも乗り心地はむしろハードで、すくなくとも“ソフト”という印象は受けなかった。
もちろん新しいランボにラクシャリーな安楽さは求めないけれど、少々バネ下の動きが“ナマ”な感じで、エクスクルーシブなスポーツカーに乗り慣れた目の肥えたお客様を唸らせるには「もう一皮むける必要があるんじゃないか」と思った。テスト車は、まったくのニューモデルの、しかもファーストロットだから、まだまだブラッシュアップの途上なのだろう。
……と、そんなことを、ICレコーダーにブツブツつぶやきながら運転していると、「ビュン!」と、撮影中のガヤルドが反対車線を駆けぬけた。「オッ!」と息をつめるカッコよさである。即座に自分も同型のクルマに乗っていることを思い出し、さっそくICレコーダーを放り出すと、ペースを上げて走りはじめた。(中編に続く)
(文=webCGアオキ/2003年6月)
・ ランボルギーニ・ガヤルド(6MT)【海外試乗記(後編)】
http://www.webcg.net/WEBCG/impressions/000013528.html・ ランボルギーニ・ガヤルド(6MT)【海外試乗記(中編)】
http://www.webcg.net/WEBCG/impressions/000013521.html