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トップインプレッション(リスト)ポルシェ・カイエン【短評】 (03.11.07)
インプレッション
【スペック】カイエンターボ(6MT):全長×全幅×全高=4782×1928×1699mm/ホイールベース=2855mm/車重=2355kg/駆動方式=4WD/4.5リッターV8ターボインタークーラー付き(450ps/6000rpm、63.2kgm/2250-4750rpm)/車両本体価格=1250.0万円(テスト車=1360.5万円)テスト車のオプションは、「デュアルエグゾーストパイプ(8.5万円)」「サイドスカート(20.0万円)」「バイキセノンヘッドランプ+ウォッシャー(14.0万円)」「スポーツシート(6.5万円)」「前席シートヒーター(6.5万円)」「スポーツシャシー(9.0万円)」「PSM(17.0万円)」「ホイールキャップ(2.5万円)」「6連奏CDチェンジャー(7.5万円)」「18インチカレラホイール(19.0万円)」
カイエンの“ポルシェらしさ”


ポルシェ・カイエンS/カイエンターボ(6AT/6AT)
……955.0/1360.5万円

鳴り物入りで登場した、ポルシェ初のSUV「カイエン」。ボクスターを愛車とする自動車ジャーナリストの河村康彦は、カイエンに従来のポルシェとは異なる印象を受けたという。カイエンへの心配と、今後の期待を込めて、その思いを綴った。


ターボの室内

カイエンは“ピュアポルシェ”か?
ポルシェ初のSUV「カイエン」の上陸によって、日本でも“プレミアムSUV”なるマーケットが一挙に賑やかになった。カイエンの見た目は、確かに“ポルシェしている”し、「SUVとしては」なんていうエクスキューズ抜きでも、スポーツ性能が“文句ナシの一級品”であることは、もはや疑いようがない。
けれども、「ポルシェルックのフロントマスク」と、「4.5リッターV8DOHCが生み出す怒涛のパワー」というポイントを抜きにして、カイエンは“ピュアポルシェ”と認められる存在なのか? そう問われると、ちょっとひと呼吸入れたくなる。つまり、911やボクスターのように、目隠しして乗せられても「これはポルシェだ!」と、すぐにいい当てることができるかどうか……。ちょっとばかり怪しくなってしまうのだ。

【スペック】
カイエンS:全長×全幅×全高=4782×1928×1699mm/ホイールベース=2855mm/車重=2245kg/駆動方式=4WD/4.5リッターV8DOHC32バルブ(340ps/6000rpm、42.8kgm/2500-5500rpm)/車両本体価格=860.0万円(テスト車=955.0万円)テスト車のオプションは、「電動サンルーフ(19.0万円)」「バイキセノン・ヘッドランプ(20.0万円)」「前席&ステアリングホイール・ヒーター(7.0万円)」「CDチェンジャー(9.0万円)」「特別色(チタニウム・メタリック/14.0万円)」が装着される。以上に加え、「フルサイズスペアタイヤ(リアマウントタイプ/26.0万円)」が付く。

カイエンターボ

耳栓してもわかる
たとえば、1996年にデビューした2.5リッターのボクスターは、絶対的な加速力で見たら、“現代ポルシェとしては”大したことがない。加速データでこれを上まわるクルマは、国産なら200万円も支払えば探すことができるだろう。すくなくとも、ボクスターの「約半額」、300万円を投資すれば、間違いなくより速いモデルが手に入る。何しろその価格帯には、「三菱ランサーエボリューション」や「スバル・インプレッサWRX」がランクインするのだから。絶対的な動力性能において、「ポルシェは速い」というフレーズは、もはや幻想に過ぎない。

とはいえ、“素のボクスター”は、極めてポルシェテイストが強く、それゆえ魅力的な一台だ。もちろん、フラット6ならではのサウンドが、“ポルシェらしさ”の一因である。だが、それだけではない。仮にエグゾーストノートがまったく聞こえないよう耳栓されたとしても、ぼくにはこのクルマが「ポルシェ」といい当てる自信がある。
走り出した瞬間から、圧倒的なフラットライド。足の裏で直接ディスクローターにタッチするかのような、ブレーキのペダルフィーリング。“ノーズダイブ”という言葉とは無縁の、沈み込むようにして速度を落とす減速感。そしていかにも“人車一体感”の強いハンドリングは、まさしく「ポルシェならではの世界」だ。つまり、初代ボクスターは絶対的なスピード性能に依存しなくても、十分ポルシェらしさを発散していることになる。このあたりは、今は姿を消した「924」「944」や「928」など、911やボクスターとは似つかないFRモデルにすら共通したテイストであった。

今後が楽しみ
それでは、ポルシェAG自ら「第3のモデルレンジ」と紹介するカイエンの“ポルシェらしさ”はどうなのか? 走りのテイストから感じたDNAのアピール度は、すこし弱いようにぼくは思う。正直なところ、目隠しされたうえに耳栓までつけられたら、ドライブしている(できないけど)のが「カイエンだ」と、いい当てられないかもしれない。

ポルシェはカイエンに、911/ボクスターと血縁関係が深いことをイメージさせるフロントマスクを与えた。カイエンターボは最高出力450ps、最高速度270km/hという、怒涛のスペックを実現した。それもこれも、初めて手がけたSUVであるこの“作品”に、カタログ上からも「ポルシェの一員」であることをわかりやすく表現するための手段、と考えられないだろうか。もっと突っ込めば、まさにこうした点に、ポルシェ自身がカイエンというモデルに、多少なりとも不安を抱いていることが垣間見える。

カイエンの販売は、世界的に極めて好調だという。ポルシェが述べる「“ファーストカー”としてのポルシェ」を待っていた人が、けっして少なくなかったわけだ。
しかし、スタート時点での成功を維持していくためには、今後の切磋琢磨も不可欠なはず。「最新のポルシェが最良のポルシェ」というフレーズがカイエンにいかに当てはまっていくのか、大いに楽しみである。

(文=河村康彦/写真=峰昌宏/2003年8月)

V8“NA”エンジン



カイエンターボ(手前)とS

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