ダイハツのニューモデル「タント」は、同社いうところのコアモデル「ムーヴ」をベースに、室内スペースを最大限に確保したモデルだ。軽には、「アトレー」やスズキ「エブリィ」、スバル「サンバー」など、商用車ベースの“ワンボックス”は存在するが、タントはFF乗用車ベース。本格的な(?)ピープルムーバー、もしくはミニバン、である。
ダイハツのエンジニアの方は、こんなことを言っていた。
たとえばアトレーの荷室は広いとはいえ、乗員より荷物優先のパッケージングのため、前席スペースがフロントに押しやられ、ドライビングポジションはトラックのようなハンドルを抱え込む姿勢になりがち。積載量が大きいからリアサスペンションは硬く、乗り心地も悪い。そもそも後輪駆動のため、ドライブシャフトが通る床面は高い。それに、なによりスタイリッシュじゃない。ムーヴのような乗用軽は、乗員スペースは十分な一方、荷室が小さく、特に奥行きの狭さがタマにキズだった。FF乗用車ベースのタントを、商品開発スタッフは「商用と乗用のイイとこ取り」と主張する。
とはいえ、ボディサイズに制限のある軽自動車ゆえ、縦横寸法を大きくすることはできない。タントのボディサイズは全高のみムーヴより95mm高い、全長×全幅×全高=3395×1475×1725mmである。ピョコンと背の高いデザインからは、働くクルマの雰囲気は感じられない。短いボンネットやボディ上半分を占める広いグラスエリアなどにより、ホンダ「モビリオ」やフィアット「ムルティプラ」に近い、楽しげなクルマに見える。
“軽最大級”を謳うホイールベースは、ムーヴ比50mmも増加した2440mm。ムーヴもキャビンを大きく採るため、ボディのギリギリにタイヤを配置したが、タントではさらに、前輪を30mm、後輪は20mm前後へ移動させたのである。リポーターは新型ムーヴを見て、「前後オーバーハングほとんどなし」((
http://www.webcg.net/WEBCG/news/000012170.html))と思ったが、まだ余裕が残されていたとは……。
そのうえで、エンジンルームと室内を隔てるインパネ裏の構造部材を縮小。ダッシュボードの張り出しをムーヴより抑え、室内長を80mm延長した。2mの室内長は、2リッターセダンに匹敵するという。もちろん、“軽最大級”である。