とまあ、久しぶりに乗った軽自動車の充実ぶりに、すっかり感心の体だった筆者。ではあるが、いざ走り始めてからの印象には、残念ながら依然として“軽”なるがゆえの制約や、限界を感じざるをえなかった。
エンジンはいい。ブレーキは、むしろ普通車の水準を以てしても秀逸なくらい。860kgの軽い車重に64psのパワー、というより10.5kgmのトルクは充分以上で、低めのギアリングも奏功する。いまや堂々と100km/hで走れるようになった、高速道路の巡航速度にも軽々と到達できる俊敏さだ。ブレーキはオーバーサーボ気味に感じられるほどよく効くうえに、あえてパニックストップを試みても一切の乱れがなく、ABSの不快な振動さえミニマムに抑えられている。昔の軽とは確実に一線を画する点だ。おそらく、タイヤ(165/55R14)がまともになったからである。
ではなにが気に入なるかと言えば、“足まわりのキャパシティー不足”に尽きる。コーナリングにイマイチ自信が持てないのもそのためだが、たとえ直進状態でも、パワー相応のペースを維持するのはいささかツライところ。そもそも、軽いが3.7回転もするステアリングはレシオは、もうすこし“速くて”いい。のみならず、ロック付近になると不自然に重くなったり、ジオメトリーの関係からか、コーナー出口で一瞬切れっぱなしになる悪癖も垣間見られた。
足まわりの適度にファームな硬さ自体は問題ないとしても、アーム類のロケーションやバネ/ダンパーの前後バランスが適切でないとみえ、コーナーで剛性感に欠けたり、リアアクスルを軸としたフロントの上下動が目立ったりする。行き届いた遮音もあってか、低速では望外とも言える静かさだが、Dレンジで4000rpm、3速では5500rpmに相当するメーター読みの100km/hは、やはりウルサイ。“四角い箱”は横風に弱く、そんなときのウィンドノイズも相当なものだ。
なんだか、非常に惜しい気がしてきた。ボディはいいのに足はイマイチ。となると、やはり同じ140.0万円を投じるなら、「トヨタ・ヴィッツ」や「日産・マーチ」「ホンダ・フィット」「三菱・コルト」「マツダ・デミオ」といった、世界的にも水準の高いモデルがひしめく小型普通車の存在が頭を過ぎったとしても、不思議はないだろう。
(文=道田宣和/写真=清水健太/2003年12月)
・スズキ・ワゴンR RR-DI(FF/4AT)【短評(前編)】
http://www.webcg.net/WEBCG/impressions/000014526.html