イベントは、クルマの限界付近における挙動を試すため、サーキットのジムカーナ場で行われた。ただし、デモンストレーションの方法として、課題が残ったことを明言しておく。ESPの効能を試すというより、クルマ自体の特性に起因する別の面が表れたのだ。
まず、高ミュー路において、アンダーステアコントロール機能を試した。急ハンドル操作や定常円旋回で、意図的にアンダーステアを発生させ、デバイスの働きを見るわけだ。アンダーステアを簡単に説明すると、旋回しながら速度をあげていったとき、ステアリングホイールを切っても思ったほど曲がらず、クルマが外へふくらんでいく現象である。
ESP8.0装着車の場合、まず4輪のブレーキで減速させ、後内輪のブレーキ力を強く、前外輪のブレーキ力を弱めることで、ドライバーが意図した方向への旋回を助ける。これが、新機能が作動したときのメカニズムだ。
しかし、今回のテストでは、旋回に必要な舵角より大きくステアリングを切った状態で減速すると、捩じられた前輪に荷重が加わりグリップが回復。ステアリングの舵角通り急激に切れ込む「タックイン現象」が見られた。さらに、アンダーステアの強いクルマは、基本的にリアのアライメントにトーインを強める特性を与えるため、リア内輪がリフトしてしまう。メガーヌも3輪走行になってしまった。これでは、後内輪のブレーキを摘む余地がなくなり、アンダーステアコントロール機能が十分作動しない。
というと、メガーヌにESPを装着してもあまり効果がない、と思われるかもしれないが、早合点してはいけない。ジムカーナ場やサーキットは公道より路面ミューが高く、サスペンションへの入力が実用域を大きく超えるため、それなりの対策が必要になるだけのこと。実用車を、特殊な条件に合わせるわけにはいかない。ESPの効果を純粋に試すなら、もっと実用域に近い条件設定が肝要だった、ということだ。
一方、低ミュー路におけるアンダー&オーバーステア制御は、非常に効果的であることが確認できた。もともとグリップしないから、後輪がリフトすることはない。4輪それぞれに作用するブレーキ制御により、アンダーステアでは旋回を助け、オーバーステアでは旋回を引き戻してくれる。ステアリング操作どおりに、クルマが曲がるというワケだ。
【ESPはこう働く】