続いてはトップモデルの「GTレザーパッケージ」。インテリアは“エモーショナルなデザイン”をもってしても依然、目にした途端に思わず「あッ、ゴルフだ!」と叫びたくなる実直さだが、樹脂類をはじめとする素材のクォリティは間違いなく上がっており、加えてテスト車のような豪華装備に囲まれてみると高級感はひとしおだ。このモデルに標準のレザーシートはランバーを含めたすべての調節がパワー作動で、なおかつヒーター付き。同じくGT以上に標準のフルオートエアコンは、左右席を個別に調節できるデュアルタイプとなっている。
テスト車にはさらに、DVDナビゲーション+MDプレイヤー+AM/FM/TVチューナーを内容とするマルチメディアステーションと電動ガラスサンルーフが、それぞれ24万6750円、11万5500円高のオプションで付いていた。
EとGTレザーパッケージの、オプションなしで88万2000円の価格差はプラス34psとなるエンジンのパワーやその他もろもろの違いまで考慮するとむしろ割安なくらいだが、それでも筆者にはEの方がより魅力的に映る。理由は1.6リッターで充分なことのほかに、乗り心地とハンドリングのそれをはじめとするあらゆる意味でのバランスが、微妙なところでよりよく感じられるからだ。
たとえば同じミシュランのエナジーを履いていてもGT系はサイズが大きく、コーナリングパワーそのものには余裕があって、そのぶんアンダーが軽かったり、スキール音がすくなかったりはする。だが、それよりもEには初代ゴルフを彷彿とさせる、あの軽快さがあるのだ。
全車共通の電動パワーステアリングは極上のスムーズさと自然なフィールを持つ秀逸なできで、それを操りながらのコーナリングは“ファン“そのもの。Eならスロットルの戻し方ひとつでより明確なタックインを誘うことができ、それでいて圧倒的にサスペンションがパワーに勝っているから、たとえ何をやっても安全な方向に収束してくれそうな、ヨーロッパ車ならではの信頼感に満ちている。
サスペンションはストロークが長く、ソフトめのEでももはやハードコーナーリング時の“3輪車”は演じそうにない。したがって、乗り心地はダンパーの効きがはるかによくなったこともあって、どのモデルも素晴らしいの一言。強いて言えば、GT系は低速でやや硬い。室内は前席も後席も、そしてトランクも、かつてない広さだ。特に横方向のゆとりが顕著で、ドアが遠くなったように感じられた。
(文=道田宣和(別冊CG編集室)/写真=峰昌宏/2004年6月)
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フォルクスワーゲン・ゴルフE/GTレザーパッケージ【短評(前編)】