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トヨタ・パッソG(4WD)【ブリーフテスト】
(04.08.17)
インプレッション
【スペック】全長×全幅×全高=3595×1665×1535mm/ホイールベース=2440mm/車重=940kg/駆動方式=4WD/1リッター直3 DOHC12バルブ(71ps/6000rpm、9.6kgm/3600rpm)/価格=123万9000円(テスト車=153万7200円)
■
トヨタ・パッソG(4WD)
……153万7200円
総合評価……★★★★
トヨタとグループ企業ダイハツによる初の共同開発車「トヨタ・パッソ」。「ヴィッツ」より小さいプチトヨタの1リッター4駆モデルに、二玄社自動車部門編集局長の阪和明が試乗した。
■
意味のあるコンパクトカー
大きなクルマにひとりで乗っていると罪悪感を抱くものだ。特に交通渋滞のひどい東京都内を移動しているときに痛切に感じたりする。だからといって「クラウン」を使っている人がいきなり軽自動車に買い替えるなんてことはないだろうけど、すくなくとも小排気量のコンパクトカーに宗旨替えする人があらわれても不思議じゃない世の中になりつつある。
この「パッソ」は、そんな環境コンシャスな時代において、とても意味のあるコンパクトカーだ。街なかでの使用がメインなら、もうこれで充分と思う仕上りである。廉価モデルだけに安っぽいところは多いが、それがどうしたと割り切れる明快なコンセプトを持ったクルマだ。
■
【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
2004年6月7日、「ダイハツ・ストーリア」とそのOEM版「トヨタ・デュエット」の後を継ぐかたちでデビュー。トヨタとグループ企業ダイハツによる国内初の共同開発車である。バッヂ以外基本的には同じ車両で、トヨタでは「ヴィッツ」よりさらに小さいエントリーカー「パッソ」として、またダイハツでは軽よりワンランクアップした上級「ブーン」として販売する。生産はダイハツが担当。
パワーユニットは2種類。オリジンたる1リッター直3が、先代より7psパワーアップした新開発「1KR-FE型」(71ps/6000rpm、9.6kgm/3600rpm)。もう一方の1.3リッター直4「K3-VE型」(90ps/6000rpm、12.6kgm/3200rpm)のアウトプットは変わらない。どちらも連続可変バルブタイミング機構付きだ。トランスミッションは電子制御の4段AT「Super ECT」のみで、1リッターモデルには2WDに加え、フルタイム4WDも用意される。
燃費を1リッター+2WDの10・15モードで21km/リッターと、「軽乗用車に匹敵する低燃費」(プレスリリース)としたことがジマンのひとつ。加えて全車「平成17年排出ガス基準75%低減レベル」も達成した。
パッソのグレード構成は、ベーシックなリッターカーの「X」、1&1.3リッターの上級「G」に大別される。Xには、装備を簡略した「Vパッケージ」、シートまわりの収納スペースなどを追加した「Fパッケージ」を、GにはFパッケージを用意する。
(グレード概要)
テスト車の「パッソG」は4WD仕様、したがってエンジンは1リッターとなる。Xと比べ、オプション装備の選択幅が広いのが特徴。Xでは選べない、ディスチャージヘッドランプ(4万2000円)、タコメーター(1万500円)、「G-BOOK」対応カードボイスナビゲーション付きワイドマルチAVステーションII(25万5150円)などが揃う。さらに、電動格納式リモコンカラードドアミラー(Xではオプション)、運転席シート上下アジャスター、4スピーカー(Xは2スピーカー)が標準装備される。
写真をクリックするとシートが倒れるさまが見られます。(写真は1.3G“Fパッケージ”/撮影=荒川正幸)
■
【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★
すっきりしたデザインのインストゥルメントパネルがクルマの性格を物語る。妙な飾りのないのが嬉しい。テスト車はオプションのボイスナビ付きワイドマルチAVステーションを備えていたが、普通のオーディオだけが組み込まれるモデルの方が、ずっとデザイン性は高くなる。ステアリングコラムに直接付くメーター類もきわめてシンプル、かつ見やすい。ドライバーは必要最小限の情報を確実に得られればいいのである。
サイドエアバッグ&サイドカーテンエアバッグはオプションながら、ブレーキのABS、前席エアバッグ、エアコン(マニュアル式)、パワーステアリング、パワーウィンドウ、電動格納式ドアミラー、リモコン集中ドアロック、CD付きAM/FMオーディオといった具合に安価なクルマの割りにけっこうな装備が揃う。
(前席)……★★★
シートクッションの高さと車高の関係が適切なので乗降性はとてもよい。買物目的でちょこまか街を動きまわるには、乗り降りのしやすさは大切である。ドライビングポジションにも不満ない。ステアリングのチルトとシートリフターを調節することでほぼ好みのポジションを選べるはずだ。
小物入れが充実している点もこのクルマの美点である。もともと容量のあるグローブボックス下のトレイ、センターにあるエアコン調整ダイアルの下側のポケット、左右シートの間にある縦長のトレイ、それにドアポケットと、きちんと整理して使えばかなり役立ちそうだ。実用車はこうでなくてはいけない。
(後席)……★★★
ボディの大きさから想像する以上に足元は広々している。前席同様にヘッドルームにも余裕があり、頭まわりの空間もまずまずなので、窮屈に感じることはない。クッション自体は張りが強く硬めなので、ちょこんと座らされている印象が拭えないのは少々残念だ。
(荷室)……★★★
ボディサイズを考えるなら、妥当な広さが確保されている。ハッチバックならではの使い勝手もいい。リアシートを折り畳めば有効なさらに広い荷室があらわれるのは、いうまでもない。2名乗車であれば、かなり嵩張るものも積める。
■
【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★
新開発の1リッターエンジンは非力である。4WDでありながら車両重量が1トンを切っているとはいえ、やはり力はない。街なかで静かに走らせているぶんには痛痒を感じないものの、高速道路や山道を気持ちよく走るにはやや辛い。トランスミッションが4段ATであることも非力さに繋がっている。3気筒エンジン特有の音も、軽自動車的で馴染めない人もすくなくないかもしれない。
ただ、これは乗り方と使い方によって評価が分かれるのも事実だ。けっして必要以上に急がない生活の足、あくまでシティラナバウトとして捉えるなら、これくらいのパワーとトルクでもいいかなと思えてくる。しかも燃費が良好なのだから、動力性能の低さを許す気にもなってくる。
(乗り心地+ハンドリング)……★★
たとえば首都高の目地など、段差や突起を通過したときの突き上げは非常にすくない。つまりサスペンションのセッティングはかなりソフトである。コンパクトカーとしてはかなり乗り心地はいい部類に入る。高速巡航でも乗り心地はそこそこフラット、直進性もいい。しかし、そのぶんロール量は多めで、コーナーをひゅんひゅん走るような舞台では心許ない。峠道をかっとばすクルマではないのだ。
高速道路で気になるのはロードノイズが過大なこと。タイヤのパターンノイズやエンジンルームからのノイズが容赦なくキャビンに侵入してくる。遮音材を節約しているなと思う。この点においても、パッソは街なかでの使用がふさわしい実用車といえる。
同じ理由で操縦性も実用車という枠を超えるものではない。電動パワーステアリングはダルで、かつレシオがスローだからスポーツドライビングには向いていない。ただ、普通に走らせるには、これはこれで構わないと感じる。
(写真=清水健太/2004年8月)
■
【テストデータ】
報告者:二玄社自動車部門編集局長 阪和明
テスト日:2004年6月30月-7月1日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2004年型
テスト車の走行距離:1428km
タイヤ:(前)215/60R17 96H/(後)同じ
オプション装備:G-BOOK対応カードボイスナビゲーション付きワイドマルチAVステーションII(25万5150円)/SRSサイドエアバッグ&SRSカーテンシールドエアバッグ(運転席・助手席)(6万3000円)/ラジオレス(-1万9950円)
テスト形態:ロードインプレッション
走行形態:市街地(3):高速道路(7)
テスト距離:271.9km
使用燃料:20.6リッター
参考燃費:13.2km/リッター
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