(インパネ+装備)……★★★★
華美なものは何ひとつないが、全体に必要にして充分、なかでも合目的的な装備の充実が好ましい。その典型が電動スライドドアのスイッチで、ドアハンドルそのものをはじめとして、全車標準のリモコンキー、ダッシュボードとBピラー内側に設けられたそれ、そしてCパッケージ以上のグレードに追加されるスマートキーと、いつでもどこでも5通りの方法で開け閉めができるのだ。
小物入れやカップホルダーも数多く用意され、便利である。ダッシュ上面に集積されたクリアなメーターは好印象だが、反面、夜間はステアリングを含めた眼前の景色が真っ暗で、一瞬ライトの点け忘れかと錯覚させるほどだ。
(前席)……★★★★
「ウォークイン・スマート」がキャッチフレーズの「ポルテ」にとって腕の見せどころは入ったその先、つまり“動くラウンジ”としての使い勝手に違いない。したがって、ドライバーは普通に運転できさえすればそれでよしとすべきなのかもしれない。
ところが、これが案外に悪くないのである。全高1720mm、室内高1390mmの余裕と大きなガラス面積がもたらすものか、室内がとにかく明るいこともあって、コックピットの周辺も特異なパッケージングの恩恵を受けており、窮屈さとは無縁なのが有り難い。それだけに着座姿勢はアップライト気味だが、ハイトアジャスターとステアリングチルトを適宜調整すれば好みのポジションが得られる。
ただし、なぜかクッション長だけは短めで、日本車の通例に比べれば表皮が硬めなのも意外だった。
(後席)……★★★★★
★5つは必ずしも完璧を意味しないが、クルマを含む世の中全体にバブル再燃の気配もあるなかで、限られたコンポーネンツと限られたディメンションをユニークな発想とともに最大限活かし切った、その心意気に表したものだ。
もしかしたら、このクルマは左側のスライドドア1枚ですべて事足りるのかもしれない。特に右側のスイングドアに問題があるわけではないが、そのドライバーでさえ、たとえば平面駐車場で両側を囲まれているときは一旦横に移動してでも左側から出た方が楽なくらいだ。
床がまた驚くような低さ。路面との段差は僅かに30cmとかで、サイドシルらしき突起が一切認められないプレーンな“上がり框”は初代「日産プレーリー」と同様だが、それに比べてもさらに15cmは低い。開口部寸法は上下に1265mm。大の大人が背中をやや丸めるだけで正面を向き、ほとんど立ったままの姿勢で乗り降りできるのである。
そうしていざ収まってみると、後席のスペースはあらゆる方向でクラスの水準をはるかに超えていることが判明した。なかでも前述の「フリースペースモード」(
前編を参照)では正真正銘、ストレッチリムジン並みの広大なレッグルームが出現する。
エアコンは(フロントだけの)シングル、おまけにリアサイドウィンドウはハメ殺しだが、いささか離れた場所に位置する後席でも不満ないだけの効き味は示した。
惜しむらくは前席同様、シート自体のサイズが小振りなこと。これだけの“新しさ”なのだから、いっそラウンジカフェのような、ゆったりふっかりしたシートにしたらどうだったろうか?
(荷室)……★★★★
短い前後長のなかでメカニズムや居住スペースと場所のせめぎ合いをした割には、充分以上のトランクスペースが確保されている。ここでもフロアが低くフラットで、上下に深いのが強味だ。オープナーはヨーロッパ車並みに集中ドアロックひとつで施錠・解錠できる。ただし、最近はトヨタ車のみならずこの種のクルマでなぜか無視されたも同然のリアシェルフやカバーの類はやはり見当たらない。