トップインプレッション(リスト)トヨタ・ハリアーハイブリッド プレミアム Sパッケージ(CVT)【ブリーフテスト】 (05.04.22)
インプレッション
【スペック】全長×全幅×全高=4755×1845×1690mm/ホイールベース=2715mm/車重=1980kg/駆動方式=4WD/3.3リッターV6DOHC 24バルブ(211ps/5600rpm、29.4kgm/4400rpm)、フロント交流モーター(167ps/4500rpm、34.0kgm/0〜1500rpm)、リア交流モーター(68ps/461〜5120rpm、13.3kgm/0〜610rpm)/価格=462万円(テスト車=501万600円)
トヨタ・ハリアーハイブリッド プレミアム Sパッケージ(CVT)


……501万600円
総合評価……★★★★★

新開発ハイブリッドシステムを搭載したトヨタのSUV「ハリアーハイブリッド」。スポーティなトップグレードの“プレミアムSパッケージ”に、自動車ジャーナリストの島下泰久が試乗した。


自動車ジャーナリストの島下泰久

期待通り、想像以上
かねてから噂のハイブリッドSUVが、いよいよ登場した。結論から言えば、その出来映えは期待通り、想像以上のものということができる。
まず目を奪うのは、通常のガソリンV6を上回る3.3リッターの排気量を与えたエンジンと、前後の強力なモーターの組み合わせによる圧倒的な加速性能だ。しかし、単に速いというだけなら、いくら技術的に優れていたとて、それほど高く評価できるものではない。ハリアーハイブリッドが素晴らしいのは、シームレスでそれこそ永遠に続くかのような力強い加速感や、E-Four、VDIMとの組み合わせによる高度な車両姿勢制御など、ハイブリッドでなければ得られない走りの魅力と実力が、ふんだんに詰まっているところ、それに尽きる。

肝心の燃費は、高速移動が主体ではそれほど伸びないが、市街地などゴー・ストップの連続するシチュエーションでは、そのパフォーマンスからは想像できないほどの数値をマークする。
この全方位の高性能ぶりを、高級感漂う内外装を持つハリアーでスマートに引き出す。それはモアパワーの欲求で膨れ上がった輸入SUVを我が物顔で転がすよりも、断然クールに見えるはずだ。



【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
「クルーガーハイブリッド」とともに、2005年3月22日発表されたハイブリッドSUV。「プリウス」の販売が好調でハイブリッドシステムの生産が追いつかず、発売が延期されていた。
搭載されるハイブリッドシステムは、プリウスのシステムを進化させた「THS II」。3.3リッターV6(211ps)エンジンに、フロントモーター(167ps)とリアモーター(68ps)を組み合わせ、システム最高で272psの最高出力を発生する。モーターのトルクを増幅するという役割を持つ、新開発のリダクションギアや、288Vのバッテリーを650Vまで昇圧する可変電圧システムが用いられ、これによりフロントモーターはプリウス比で約2.4倍のパワーアップ。さらに同比81%の容積となる小型化も図られた。トランスミッションは燃費に寄与するCVTを組み合わせ、10・15モード燃費は17.8km/リッターを誇る。
駆動方式は、後輪をモーターで駆動する4WDシステム「E−Four」。これに加え、上級セダン「クラウンマジェスタ」と同様の「VDIM(ヴィークル・ダイナミクス・インテグレーテッド・マネージメント)」を採用し、安全でスポーティな走りが楽しめるという。
ハリアーハイブリッドは5人乗り、クルーガーは3列7人乗りとなるのが、両者の大きな違い。05年内にハリアーがレクサスに移行することもあり、内外装や装備は、「プレミアム」なハリアーと「スポーティ」なクルーガーのイメージを踏襲し、差別化が図られる。
(グレード概要)
ハリアー・ハイブリッドのグレードは標準車に加え、装備を充実させた“Lパッケージ”と、スポーティな性格を与えたトップグレード“プレミアムSパッケージ”の3種類。スポーツサスペンションを装着し、オンロード専用タイヤを履く(ほかはオールシーズンタイヤ)のはこのグレードのみである。
全グレードにわたって装備は充実するが、“プレミアムSパッケージ”はリアスポイラーにボディ同色を採用。インテリアは本革仕様となるほか、カップホルダーやセンターコンソールのアクセントに、本アルミが使われる。





写真をクリックすると、シートアレンジが見られます。

【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★★★★
見た目、品質の非常に高いインパネは、ベースとなったハリアーと基本的に変わらないクオリティ。ハイブリッドならではの違いは回転計の代わりに装備されたパワーメーターと、エネルギーモニターを組み込んだマルチインフォメーションディスプレイ、キーを差し込むのではなく「POWER」スイッチを押して始動させるスマートエントリー&スタートシステムといったところである。エレクトロマルチビジョン装着車に用意されるエンジンとモーターの駆動状況やバッテリー残量などを表示するエネルギーモニターと、平均燃費や回収エネルギー量などをグラフ化する燃費表示も、プリウスなどではお馴染みの装備。見ていると自然と、できるだけバッテリーを無駄使いしないように、平均燃費を下げないように運転してしまう。実はハイブリッド云々より、これが一番燃費に効いているのかもしれない。
(前席)……★★★★
ボディサイズが大きいだけに、室内は十分な広さを有する。たっぷりとしたサイズの前席は、日本人にはやや大きめでホールド感は甘めとは言え、リラックスした走りならば満足できるものとなっている。高い着座位置がもたらすSUVらしい開けた視界も、快適性の高さに貢献する要素だ。
室内色は基本がブラックで、グレードとボディカラーによってはアイボリーとなる。ブラック内装は高級感というか凄みはあるものの、室内全体が沈んだ印象となる。もう少し明るい色を増やしてもいいのではないだろうか。また、運転席&助手席のSRSサイドエアバッグと、前後席のSRSカーテンシールドエアバッグがオプション設定というのも、プレミアムを謳うSUVとしては物足りない。車両価格がオプション装備代の6万3000円高くなったからと言って、売れ行きが鈍るクルマではないと思うのだが。
(後席)……★★★★
後席も前後、左右、上下のいずれの方向にも余裕があって、リラックスして過ごすことが可能だ。シートはさらに120mmの前後スライドと、左右独立式のリクライニング機構も装備。シートを大きく後ろに下げ、大型のセンターアームレストを倒せば、ちょっとしたリムジン感覚を楽しめる。運転を任せられる時には、ラゲッジルームにあるAC100V電源を使って、ポータブルDVDなど楽しむなんてのもアリだろう。一方リクライニングに関しては、特にレザーシートの場合、お尻が前に滑って姿勢が崩れ、かえって疲れを助長してしまうので、あまり使う理由はなさそうだ。ただしいずれにせよ、リアドアウィンドウの面積は大きくなく、プライバシーガラスを使っているため開放感もさほどではないのは残念だ。
(荷室)……★★★★
バックドアを開けるとトノカバーが自動的に巻き取られ、一面びっしりカーペット張りとされたラゲッジスペースが出現する。汚れものを積むのを躊躇ってしまうほどの上質な仕立てだ。フラットなフロアは2重構造となっていて、リアシートを折り畳む際に、使わなくなるトノカバーを収納できるなど、使い勝手もよく練られている。
後席は4:2:4分割可倒式。簡単な操作で座面が下がり背もたれが前傾するワンタッチフォールドダウン機能が備わっており、容易にフラットなスペースを生み出すことができる。センター部分だけ倒せば、4名が乗車しながらスキーのような長尺物を運ぶことも可能だ。
なお、Lパッケージ、プレミアムSパッケージに標準装備のパワーバックドアは、使ってみると非常に便利。特にリモコンキーにて開閉できる機能は思った以上にツカエる。一度使うと手放せなくなりそうである。






【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★★★
専用ハイブリッドシステムは、最大272psのパワーによる速さ自体はもちろん、その質もきわめて高い。モーターからのパワーの伝達はトランスミッションを介さないため変速ロスは無く、踏みっぱなしにしていると、怒濤のパワーが途切れることなく供給され続け、あっと言う間に速度を高めてくれるのだ。どこから踏んでも即座にトルクがもたらされる特性ゆえに、加速は常に思うがまま。パワー自慢のSUVはほかにもあるが、ハリアー&クルーガーのハイブリッドでしか味わえない、この異次元の加速感の前では、すべてが色褪せてしまいそうだ。
ハイブリッドの特性で、加減速を繰り返す市街地などでは効率的なエネルギー回生によって優れた燃費をマークするものの、高速巡航などではハイブリッドの燃費上のメリットはほとんど無いものと思われるが、この加速感はそれだけでも十分、購入の動機となり得るに違いない。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★
車重は1900kg台と決して軽くはないのだが、フットワークはその車重を忘れさせるほど軽快感が強調されている。ノーズの入りはシャープだし、攻め込めばリアがスライドするような領域まで持ち込むこともできるほど。ただし、電気式4WDシステムのE-Fourを活かした車両姿勢制御装置のVDIMが、限界に至る手前から緩やかに介入するおかげで、姿勢が大きく乱れることはない。高い自由度と安心できるスタビリティを両立させた、なかなかの出来映えのハンドリングである。
乗り心地がもっとも優れるのは、17インチオールシーズンタイヤを履くベースグレード。限界の高さやハンドリングの正確性では、やはりプレミアムSパッケージが一歩あるいは二歩勝るが、乗り心地はやや硬めとなる。結局、ハンドリングと乗り心地の総合バランスで見ると、Lパッケージの18インチオールシーズンが一番ということになりそうだ。

(写真=峰昌宏)

【テストデータ】
報告者:島下泰久
テスト日:2005年4月12日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2005年型
テスト車の走行距離:2369km
タイヤ:(前)235/55R18 99V(後)同じ(いずれもブリヂストン ポテンザRE031)
オプション装備:SRSサイド&カーテンシールドエアバッグ(6万3000円)/G-BOOK対応DVDボイスナビゲーション付きEMV(32万7600円)
形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(8):高速道路(2)
テスト距離:142.8km
使用燃料:16.3リッター
参考燃費:8.7km/リッター



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