トップインプレッション(リスト)トヨタ・エスティマのライバル車はコレ【ライバル車はコレ】 (06.04.21)
インプレッション
【スペック】3.5アエラス\"S パッケージ\"7人乗り:全長×全幅×全高=4795×1800×1745mm/ホイールベース=2950mm/車重=1830kg/駆動方式=FF/3.5リッターV6DOHC24バルブ(280ps/6200rpm、35.1kgm/4700rpm)/価格=342万3000円
ミニバン対決


トヨタ・エスティマの「ライバル車はコレ」

“正常進化”を遂げた3代目「エスティマ」。初代登場から数えて15年目に出た新型は、見た目こそ「エスティマ」ながら、プラットフォームやパワーソースなどが一新された。スタイリッシュミニバンのライバルと比較する。






トヨタ・エスティマ(3.5リッター/321万3000円〜388万5000円)
■オールニューに感じる意気込み

“天才タマゴ”の異名を自ら謳った初代モデル誕生から15年余り。約10年に及ぶ長寿を誇ったそんな初代モデルは、約110万台を生産。続いて2000年からの6年間を守り抜いた2代目は60万台余りを生み出した。エスティマは、紛うことなく「オデッセイと共に『ミニバン』という新たなカテゴリーを日本のマーケットに定着させた立役者」と紹介できるモデルだ。
2006年1月にデビューした現行3代目のルックスは、その“パッと見”が2代目モデルにかなり近い印象である。「楕円形が基本モチーフのモノフォルム」という歴代モデルと共通のイメージを再度採り入れたのは、トヨタがエスティマ独特の雰囲気に、いかに自信を抱いているかの現われと言ってもよさそうだ。

ただし、“中身”の方は3代目となってまさにフルチェンジされた。「プラットフォームもパワーユニットもサスペンションも新設計」という点、つまりかなりのコストをかけたという点に、トヨタがこのモデルに掛ける意気込みを感じる。3.5リッターとエスティマ史上最大の排気量をもつ心臓をラインナップに加えたのも現行モデルの大きな特徴。レクサスGS/ISやクラウンに先行で搭載されたこのV6エンジンは、エスティマへの搭載にあたりインジェクション方式をオーソドックスなポート噴射方式に改めるなど、独自のリファインを行いつつ、最高出力280psの高出力を発生する。

ちなみに、3.5リッターV6モデルに組み合わされる6段ATは、トヨタ車では“常識”のアイシン製ではなく「4年の歳月をかけて開発してきた」という自社製ユニット。ブレーキ・システムにも「国内向け販売車には初めて」のボッシュ製を採用した。ちょっと業界的なハナシながら、従来からの“ケイレツ”には収まらない積極的な部品調達に動いた事実が垣間見えるのが興味深い。
一方、モデルチェンジのたびに日本市場での重要度が増しているのもエスティマならでは。当初は欧米のマーケットも視野に入れて作られていたエスティマだが、現行モデルは一部アジア地区に輸出されるのを除き、事実上“日本専用車”となった。

【スペック】
L:全長×全幅×全高=4765×1800×1550mm/ホイールベース=2830mm/車重=1650kg/駆動方式=FF/2.4リッター直4DOHC16バルブ(160ps/5500rpm、22.2kgm/4500rpm)/価格=277万2000円





【ライバル車 その1】ホンダ・オデッセイ(2.4リッター/241万5000円〜300万3000円)
■あくまでも、ホンダらしい

パレット式のパーキングにも入れる低全高ボディにヒンジ式のリアドア……と、すでにこの時点でエスティマ直接のライバルとは考え難いものの、日本のミニバン市場を築いてきた存在として、やはり外すわけにはいかないのが「オデッセイ」だ。エスティマとは大いに異なる考え方に基づいたパッケージングこそが、“3列シートのステーションワゴン”たるオデッセイのスタンスでもある。実際、ドライバーズシートからの視界の広がりや、振り回した際のフットワークテイストも、「ミニバンというよりは明らかにセダンに近い」印象だ。

エスティマが3代目となっても“スタイリッシュな王道ミニバン”を狙うのに対し、自ら開拓したポジションを後追いのライバルたちが侵食し始めたのを目にして、「ならば別の手を考える」とばかり、潔く立ち位置を変えたのが現行オデッセイ。その特徴は“低さ”にある。徹底した低重心・低全高デザインのおかけで、走りの自在度の高さは本格的な3列シートを備えるクルマのなかではピカ一の印象。もっとも、時にワインディング・ロードをも攻めたくなるほどのそうした感覚は、2列目3列目の住人にとっては何ともはた迷惑なものかもしれない。「それって、ミニバンなの?」と突っ込まれそうなところも、またオデッセイである。

デザイン全体は、ちょっとばかり子供じみた印象も受けなくはないが、大胆で未来的なダッシュボードまわりなどは“ファミリーカー”たるミニバンの常識を大きく覆すもの。見た目は少々奇抜に思えるナビゲーション・システムのコントローラーは、実際使ってみるとブラインド・タッチもやりやすく、なかなか秀逸なデザインである。渋滞回避に主眼を置いたテレマティクス・システム“インターナビ”も、エンターテイメント系が充実したエスティマの“G-BOOK ALPHA”と考え方が対照的なのも面白い。
「真ん中狙い」のエスティマがトヨタらしいモデルと言うなら、ちょっとクセのあるオデッセイは、いかにもホンダらしい一台だ。

【ライバル車 その2】マツダMPV(2.3リッター/238.0万円〜310.0万円)
■遅れてやってきた優等生

3列のシート全ての乗員を「前後輪の内側に収めたかった」、そんな理由から採用されたホイールベースは従来型比で110mmも長い2950mm。しかも、それが奇しくも3代目エスティマとピタリ同一なのが、フルモデルチェンジしたての新型「MPV」である。
エスティマと同様こちらも今回から事実上の“日本専用モデル”とされたことで「日本で不便なく使える最大の寸法を考えた」ボディの全長×全幅サイズは4860(一部グレードは4870)×1850mm。すなわち、長さと幅はエスティマよりも大きいのである。しかしむしろちょっとコンパクトに感じられるのは、「フロア高を下げられた分だけルーフ位置も下げた」全高による。エスティマも、従来型比でマイナス40mmを達成したとはいえ、MPVはさらに45mmも下回った理由が大きいといえるだろう。

自社ラインナップ中に適当なV6ユニットが見当たらず、かつ「騒々しくてパワーも今イチ……」と評されたアメリカの“親会社”製ユニットを積むことに懲りた(?)か、マツダの選択は「6気筒モデルは思い切り良く諦める。代わりにターボ付きの4気筒エンジンを搭載する」という手法だった。直噴ヘッドを備える2.3リッターの4気筒ターボ付きユニットは、「マツダスピード・アテンザ」に搭載されたものをミニバン向けにチューン。ターボチャージャーを変更するなどして、中低回転域でのトルクを膨らませるなどのリファインを施したものだ。最高出力245psを誇る過給器ユニットと6段ATの組み合わせが生み出す加速能力は、なるほどエスティマの6気筒モデルにも見劣りしない。ただし、ちょっと深くアクセルペダルを踏み込むとたちまち“ターボ頼み”になる感覚が強いので、実用燃費を重視する御仁は、少々心配になるかもしれない。

もっとも、自然吸気モデルでも「必要にして十分」の動力性能や、ハンドリングの自在度と快適性がバランスよく両立されたフットワークなど、走りの質感はまずまず。ただし、質実剛健的な性格によるのか、エスティマやオデッセイに比べて、見た目での訴求度は今ひとつ。“後だし”なのにちょい地味な、遅れてやってきた優等生がMPVだ。

(文=河村康彦/写真=広報写真/2006年4月)

【スペック】
23C Sporty Package:全長×全幅×全高=4870×1850×1685mm/ホイールベース=2950mm/重量=1730kg/駆動方式=FF/2.3リッター直4DOHC16バルブ(163ps/6500rpm、21.4kgm/4000rpm)/価格=259万6000円







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