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トップインプレッション(リスト)三菱 i M (4WD/4AT)【ブリーフテスト】 (06.04.14)
インプレッション
【スペック】全長×全幅×全高=3395×1475×1600mm/ホイールベース=2550mm/車重=960kg/駆動方式=4WD/0.66リッター直3DOHC12バルブターボ・インタークーラー付き(64ps/6000rpm、9.6kgm/3000rpm)/価格=151万2000円(テスト車=161万1750円)
三菱 i M (4WD/4AT)


……161万1750円
総合評価……★★★★

リアミドシップという清新な構想とプロトタイプを思わせる大胆なデザインで、鮮烈なデビューをはたした「三菱i」。販売は好調だが新たな発想が見られなかった軽自動車界に、豊かな将来性を見せた意義は大きい。








軽自動車の可能性を広げる
とかくデザインが話題に上ることが多いが、それだけのクルマではない。よく練り上げられた、素性のいいクルマである。むしろ、デザインは「ショーカーっぽい」と評されるように、ある意味わかりやすい意匠である。もちろんそれを実際に市販車として仕上げてしまったのは、上層部の決断を含めてたいしたものだ。街中で見かけても、そこだけ愛知万博が続いているような異物感がある。ルーフのアンテナの付け根とリアハッチのリッドの上に有機的な曲面のふくらみを設えるなど、ディテールも楽しい。ただし、フロントのインパクトに比べてリアはちょっと抑え気味に見えるのが惜しい。
リアミドシップというレイアウトがデザインとドライブトレインに斬新さをもたらしたのは間違いなく、自動車にはまだまだ未開拓な領野が残っているのだと実感させられる。ユーザーにとってはエンジンの位置など意識するものではないようで、荷室の床のフードを外してみると、何の演出もない地味なエンジンルームが現れた。後席に座っていても騒音に耐えきれないということはなかったから、エンジンの存在感のなさは正解なのだろう。
軽自動車の可能性を広げるという意味では、スバルの「R1」が先駆けとなった。こちらはスペースを捨ててデザインに特化したモデルだったが、デビュー以来苦戦が続いている。iはデザインに重点を置きながらもスペースを犠牲にはしていないから、ユーザーに受け入れられる可能性は比較的大きいはずだ。だからこそ、立体パーキングに入らない全高となってしまったのがもったいなく思える。
ハンドリングと乗り心地には豊かなポテンシャルが感じられた。今でも十分な実力だが、開発を進めていけばより大きなエンジンを搭載したモデルを登場させることもできるのではないか、と期待させられる。SUVをはじめ、さまざまなバリエーションが計画されていると言われていて、どんなモデルがでてくるか今から楽しみだ。





【概要】どんなクルマ?
(シリーズ概要)
もともと「eK」シリーズを持っていた三菱が、新たに別の軽自動車として開発したモデル。FFのeKに対し「リアミドシップ」という特異なレイアウトを採用し、まったく新しいシリーズとした。
その結果、2550mmという軽自動車としては例外的に長いホイールベースをとることができ、スペース効率を向上させた。また、デザイン面でも高い自由度を獲得し、有機的な曲面を使ったボディを実現している。
新開発のMIVEC(連続可変バルブタイミング)付き直3DOHCインタークーラーターボエンジンが全車に搭載される。組み合わされるトランスミッションは4段ATのみ。装備の違いにより「G」「M」「S」の3グレードがあり、それぞれにMRと4WDのモデルが用意される。
(グレード概要)
「M」は3グレードの中間に位置し、上級の「G」に標準装備される本革巻きステアリングホイール、アルミホイールなどは省かれる。オーディオや電動格納式ドアミラーなどは用意されていて、基本的なニーズは満たされている。





写真をクリックするとシートが倒れるさまが見られます。

【車内&荷室空間】乗ってみると?
(インパネ+装備)……★★
ダッシュボードの素材はヌメッと輝く表皮を持ち、少し爬虫類っぽい。ステアリングホイールが事務的な印象の質感なので、対照すると違和感が残る。センターに設けられたオーディオ類のスイッチ、セレクターの表示などは、シルバーに赤の組み合わせがクールな雰囲気を漂わせる。ただ、中途半端にメタリックな塗装が70年代のラジカセを思わせるのは興醒めだ。メーターはアナログの回転計の真ん中にデジタルの速度表示を配していて、視認性はいい。カップホルダーの作りが弱々しく力を入れると壊れそうなのを含め、全体的にエクステリアの質感との落差が大きいのは残念。
(前席)……★★★
ラウンドした大きなグラスエリアを通して、気持ちのいい視界が広がる。シートは簡素だが、目の詰まったクッションはしっかりとした反発力を伝えて体にフィットする。妙な柄や模様がないのは、このクルマのイメージからすれば正しい選択だ。ただ、座面長が短くて落ち着かない気分になる。ステアリングホイール下にスイッチを見つけて押してみたら、お尻が温かくなってきた。4WDモデルには、運転席にシートヒーターが標準で付いているのだ。寒冷地での使用を考えたものだと思うが、そうでなくても女性には歓迎される装備なのだから、オプションでもいいから軽自動車には積極的に取り入れたほうがいい。
(後席)……★★★★
異様に高い座面に、座った瞬間は戸惑う。まるで、運転席を見下ろしているようだ。尻の下にエンジンを蔵しているのだから仕方がないわけで、慣れれば気持ちがいいかもしれない。座面が高くても頭上には十分なスペースがあり、膝の前にも空間がある。ハイトワゴンのようにだだっ広いという感じは受けないが、十分な広さである。外から見るとサイドウィンドウが後端にいくほど狭まっていくので後席に閉塞感をもたらしそうに思えるが、視点も高くなっているので問題はない。前席同様、座面長の短さは気になる。
(荷室)……★★★
開口部はあまり広いとは言えないが、ハッチが湾曲して突き出している分で多少はスペースを稼いでいる。エンジンルームの上に荷室があるわけだから床面は高く、その意味では積み降ろしが楽な姿勢で行える利点がある。大荷物を積むには、5:5の分割可倒シートを活用することになる。ちなみに、フロントフードを開けてもメインテナンス用の器具が顔を出すだけで、荷物を入れるスペースはない。





【ドライブフィール】運転すると?
(エンジン+トランスミッション)……★★★
街中で流している時と高速道路での定速走行時には、軽自動車に乗っていることを忘れてしまう。しかし、ひとたび右足に力を入れると、後方からブルルルッと騒々しい音が響いてくる。ヒューンというタービンの音もコーラスに加わり、にぎやかなことこの上ない。一瞬のターボラグのあとに訪れる加速は力強く、高速道路での合流などで不安は感じない。残念なのは、全車に組み合わされる4段ATが時にエンジンの力をスポイルしているような振る舞いをすることだ。シフトショックは大きめだし、妙に機敏にシフトダウンを行うこともあり、落ち着きがない。リッター8.5kmという燃費は、多少飛ばしたことを考慮したとしても物足りない数値だ。
(乗り心地+ハンドリング)……★★★★★
前輪の下を覗き込むと貧相なダンパーが見えて心配になるが、これがちゃんと仕事をしている。いかにも軽自動車という軽薄な乗り味とは無縁で、ゆったりとショックを受け止めてくれる。路面に粘り強く吸い付いている感覚は、どこかで味わったと思ったら、アウディの「A2」で感じたものに似ていた。しかも、ピッチングが抑えられている分、iのほうが優れているかもしれない。コーナーでの身のこなしは軽やかで素直だ。この自然なフィールは、軽自動車では味わったことのないレベルのものだ。加えて高速での直進性も素晴らしい。重量配分の恩恵か、ブレーキの効きのよさにも惚れ惚れする。

(写真=峰昌宏)

【テストデータ】
報告者:NAVI鈴木真人
テスト日:2006年4月7-12日
テスト車の形態:広報車
テスト車の年式:2006年型
テスト車の走行距離:3344km
タイヤ:(前)145/65R15 72S(後)175/55R15 77V(ダンロップSport 2030)
オプション装備:ディスチャージヘッドライト(5万2500円)/15インチラウンドリムタイプアルミホイール(4万7250円)
形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(4):高速道路(6):山岳路(0)
テスト距離:267.5km
使用燃料:31.6リッター
参考燃費:8.5km/リッター



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