シトロエンのミニバン「C4ピカソ」と3日間500kmを過ごした。ほとんどひとり乗りで。運んだのはもっぱら空気という、ふさわしくない使い方をしてしまった。ミニバンのドライバーといえば、運転手。ひとりで運転手を演じることほど、むなしいものはない。
ところがピカソでの3日間500kmは、楽しくてしかたなかった。
路面から太陽まで一気に見えるパノラマ視界。見て触れて楽しいインターフェイス。長く高い車体を忘れさせるハイレベルなハンドリング。そしてシトロエン伝統の優しいシートとサスペンション。これらがミニバンらしからぬ喜びをドライバーにもたらしてくれたのだ。
しかも室内の仕上げは同じ2リッターの国産ミニバンよりはるかに上質で、クルージングでは驚くほど静か。フランス車は安っぽいという定義さえ、ピカソは過去のものにしてしまった。
広さや収納やシートアレンジなら、日本のミニバンもすばらしい。最近は走りもよくなった。でも、そこで終わっている。便利な道具でしかない感じがする。ピカソはその先まで見つめている。所有する満足感や、移動の快感もある。だから国産車より100万円高い価格が納得できる。
7つのシートを必要としない自分のような人間でさえ、欲しいと思ってしまう。こんなミニバン、なかなかない。