ピエトロ・フルアの手になるミストラル。ジウジアーロがチーフスタイリストだった時代のギアが生んだ初代ギブリ。60年代のマセラティの黄金期を牽引したのは、高性能で優雅なGTだった。
ここに紹介する「グラントゥリズモ」が、その精神を受け継ぐ正統的後継車であることはいうまでもない。スーパースポーツカー並みのパフォ−マンスを持ち、したがってドライビングが楽しめるうえ、快適さや機能性にも妥協がない。美しくなければならないことはもちろんだ。
トライデントの伝統を1953年型の「A6GCS」から、フューチャリスティックなデザインエレメントを2006年のジュネーブショーでデビューしたコンセプトカー「バードケージ75th」から採り入れたというスタイリングを担当したのは、もちろんピニンファリーナ。圧倒的な存在感とサイズを誇るコンケーブ(凹面)形状のグリルが、ボローニャに生まれモデナで育ったこのブランドの輝かしい歴史を象徴している。と同時に、あたかもポンツーンフェンダーのように盛り上がった力感溢れる抑揚が、ダイナミズムを暗示してもいる。フロントエンジン−リアドライブの古典的クーペのプロファイルを現代的に見せるのは、やはり全長に占めるホイールベース(2942mm)の割合が高いことも一因だろう。