ノーマルのF430にほとんど見劣りしない実用性を確保しながら、飛びっきりのドライビング・エモーションをもたらしてくれる。単に軽く(グラム単位で軽量化を積み重ね、計100kgのダイエットに成功している)、パワフルにしただけなら予想の範囲内。
しかしそれを大幅に凌ぐ魅力を430スクーデリアは身につけていた。何しろフィオラーノ1周のラップタイムは、エンツォと変わらないのだという。
FIAがいくらレギュレーションを改訂しても、ラップタイムが年々向上し続けるF1と同じ構図。つまりフェラーリはGPマシーン同様の技術革新を、ロードカーにも惜しまず注ぎ込んでいるということだ。
かつてモータースポーツへの参戦は、市販車への技術のフィードバックが主目的とされてきた。だからこそ“走る実験室”などといわれてきたわけだ。しかし今はどうだろう? 若々しくダイナミックなイメージを構築することの方に、軸足を置いているのではないか?
そんなご時世にあって、フェラーリは恐らく世界で最もレーシングカーと生産車の距離が近い。セミオートマチック・ギアボックスの“スーパーファスト”然り、電子制御デフのE-DIFFまた然り。このふたつが今回もまた大幅にアップデートされた他、いくつかのF1技術の応用が図られ、大きく甘い実がなった。
試乗会はいつも通りフィオラーノのテストトラックを舞台に始まった。日本人グループでは、いの一番でコースインする。前夜ホテルで資料にザッと目を通してからずっと、早く操縦したくてウズウズしていたのだ。パワー/ウェイトレシオが2.45kgと聞いただけで、胸がザワついてくるではないか。

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