1シリーズの新しいラインナップ、「135iクーペ」をBMWは名車「2002」の再来と謳う。コンパクトなサイズにしてもそうだし、何よりクーペというより2ドアセダンと呼ぶほうがしっくりきそうなスタイリングは、たしかにそんなイメージを想起させる。
ただし、それが本当に狙ったものなのかはわからない。1シリーズの期待を上回る人気で急遽クーペをデザインしたものの、ロングノーズの1シリーズをベースに全長を3シリーズ以下まで切り詰め、それでいて後席のヘッドルームを確保しようとしたら必然的にこうなっただけという気もする。正直、手放しで賞讃できるほどスタイリッシュとは思えない。けれど妙に納得させられてしまうのは、やはりブランド、そして積み上げてきた歴史の力だろうか。
もちろん、3シリーズが随分立派になってしまった今、このサイズで3ボックスシェイプの、しかも小気味よい走りを予感させるBMWが登場したことへの期待感も大きく作用しているのは間違いない。そして嬉しいことに、135iクーペの実力は、期待に十分応えるものだと言えそうだ。
見た目ほどには軽くない車重や大パワーのターボエンジン、Mスポーツの足まわりなどが構築する走りの世界観は、3シリーズクーペのものと基本的に共通の、どちらかといえば重厚なものなのは事実。しかし内外装から感じるタイトな凝縮感、そして335iクーペにはない6段MTがもたらす歯切れ良いドライブフィールが、久々のBMWらしい小股の切れ上がったようなテイストを堪能させてくれるのである。
問題はMTで538.0万円という安くはない価格だが、決して高くはないハッチバックの「130i Mスポーツ」が495.0万円と考えれば、むしろリーズナブルと言うべきかもしれない。ファッション性という意味でどれだけの惹きがあるのかは微妙だが、それなら他にも選択肢はある。この135iクーペは、走りにこだわり、自分のために主張をもってクルマを選べる人にこそオススメしたい。
さらに付け加えるならば、その魅力を余すことなく味わうためには、是非ともMTを選んでほしいところである。