「トヨタ・ヴァンガード」のラインナップに新たに加わったFFモデルを目の前にして、腕組みをしたわけです。オフロードをわしわし進んでいきそうなカッコのこのクルマが四駆ではなくFFだというのが、なかなか興味深い。たとえて言うなら、生活防水のダイバーズ・ウォッチとでも申しましょうか。
SUVの本場アメリカではFFのSUVなんて当たり前、ということは知識としては知ってるつもり。それに、そもそもヴァンガードの四駆システムはFFをベースにしたもので、泥濘地やガレ場など本格的なオフロードで真価を発揮するタイプでもない。
でも正直、脳裏に浮かぶのは「見かけ倒し」という言葉……。どうなんでしょう、FFのSUV。どうなんでしょうと聞かれてもみなさんも困ると思うので、しばらくFFのヴァンガードをお借りして乗ってみました。
で、何日間かをFFのヴァンガードと過ごすうちに考えが変わった。自分は古いタイプなもんで、ついついヴァンガードを「ランクル」や「ジープ」の仲間だと考えてしまう。でもヴァンガードは、祖先こそオフロード四駆と近いかもしれないけれど、まったくの別種だった。近い祖先を持つとされる牛とクジラがまったく別の方向に進化した、みたいな話だ。
使ってみた印象の前にざっくりとヴァンガードを解説すると、日本国内仕様よりもホイールベースが100mm長い輸出用「RAV4」をベースに、少しアダルトなデザインのボディをかぶせた「お洒落版RAV4」。RAV4が輸出を想定しているいっぽうで、ヴァンガードは基本的には国内専用車種だ。
今回試乗したのは2.4リッター直4エンジン搭載の5人乗り仕様で、さんざん書いたようにFF。3列シートの7人乗り仕様も選べる。ただし3.5リッターV6エンジンは四駆との組み合わせのみで、FFの設定はない。
2007年8月のデビューからちょうど1年が経過したこの夏、ヴァンガードに内外装の小変更が施され、あわせてこれまで四駆モデルだけだったところにFFモデルが加わったのだ。
大人っぽくてなかなかいい色合いの、ベージュのシートに収まってエンジンを始動する。