最近のアウディのエンジニアリングは、FFへの挑戦という言葉がふさわしい。前輪駆動ともなれば、前後重量配分で6割ぐらいはフロントに荷重を与えるのが常識なのに、「TT」ではスカットルから前側を集中的にアルミに置き換え、「A4」では旧型よりフロントアクスルを154mm前進させることで、50:50に近い前後重量配分を手に入れているからだ。
それによるトラクション不足などの弊害は、少なくともTTには見られないが、ホンネはクワトロ、つまり4WD前提のパッケージングなのかもしれない。でもいままではTTもA4も、4気筒はFFしかなかった。クワトロには重量配分で不利になるV6しか選択肢がなかったのだ。
だからこそ今回乗った2.0TFSIクワトロは、現行TTの理想形に思えた。そもそも初代TTは4気筒ターボ+クワトロでスタートしたのだから、原点回帰でもあるわけだ。あと望みたいのは3ペダルMTの復活か。先代TTや3世代前のA4のクワトロMTを、いまも大事に乗り続けているユーザーは少なくない。スポーツカーを名乗るなら、すくなくとも1車種はMTを残すのが流儀ではないだろうか。