今からちょうど3年前の2005年12月、NSXの生産が終了した。バブル絶頂の1990年、国産車では異例の1000万円級高性能スポーツカーとして生を受けたこのクルマは、そのスタイリングや価格、そしてフルアルミモノコックボディの採用と、何から何までが斬新だった。
そのすでに「過去の遺産」となったスポーツカーを、今このタイミングで採り上げようというのは、あの頃のホンダは良かった……などと昔を懐かしむのが目的ではない。まして、ホンダのF1撤退と絡ませて時代の移り変わりを匂わせようなどという意図もない。
とにかくこのNSXというスポーツカーは、作り手がどんなクルマに仕上げたかったのかが明確なクルマだ。それゆえ、余計なところには手を付けず一本筋を貫きとおした彼らの、凝縮された情熱が浮かび上がってみえるのである。
彼らの情熱から生まれたNSXの個性は、時間の経過とともに薄れてゆくのではなく、むしろより強い光となって昨今のスポーツカーとの違いを鮮明にしているように思える。時代は、このクルマの作り手が求めた方向には行かなかった。それは、今になってみてわかったことである。
では、一度のフルモデルチェンジも経験せず消滅していったNSXは、時代と相容れないクルマだったのか、魅力的な存在ではなかったのか。その答えをいま一度問うてみる。
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(リポーター=島下泰久)