主役があとから登場するというのは、お芝居の世界などでもよくあること。2007年9月の「M3クーペ」発表から半年以上を経て、M3シリーズのラインナップに、これぞ主役!といいたくなるモデルが並んだ。それが、今回試乗した「M3セダン」の「M DCTドライブロジック」バージョンだ。
ポイントは、7段のツインクラッチトランスミッション。すでに欧州メーカーではフォルクスワーゲンやポルシェなどが採用。国産車でも「日産GT-R」や「三菱ランサーエボリューションX」といったハイパフォーマンスカーに同様の機構が使われている。今さら説明の必要はないかもしれないが、ひとことでいってしまえば、ひとつのエンジンにふたつのマニュアルトランスミッションが組み合わされているようなもので、1-3-5-7速(とリバース)のギアセットに、2-4-6速のギアセットと、ふたつのクラッチを制御して変速を行う。スムーズかつ途切れることのない加速特性が持ち味だ。
乗り込んで、始動を試みる。と、ありもしないクラッチペダルを踏もうとした。MTモデルではないとわかっていても、エンジンをかける時にブレーキペダルを踏んでみると、その配置と大きさがMTモデルと変わらないので、ついつい勘違いしてしまう。ツインクラッチ方式を採用したクルマはほかにもあるといったが、多くは、オートマ車のように大ぶりなブレーキペダルを備える。だがM3のそれは小ぶりで、MTモデルの3つのペダルからクラッチペダルだけを取り去ったようなもの。左足の前方はガランと空いている。