ボルボはC30/S40/V50シリーズに新ラインナップを加え、思い切った戦略を打ち出した。
(1)2リッター4気筒エンジンと2ペダル式の6段MT「パワーシフト」の組み合わせをそれぞれに用意
(2)3モデルとも、エントリーグレードの価格を300万円以下に設定
というのが、そのポイントだ。
そもそもボルボは、わが国で高価格なクルマというイメージもある。日本市場では5気筒モデルが下限で、本国に存在する4気筒2リッターのモデルは販売されていない。ATとの組み合わせが無かったからである。今回ゲトラク社との共同開発でオートマ走行ができる「パワーシフト」が組み合わされた。これはフォルクスワーゲンのDSGやポルシェのPDKのような、ツインクラッチ式の油圧作動シーケンシャルシフトという、最新にして流行の形式だ。
この手のギアボックスは、パワーの流れが途切れないことから、スポーティなクルマ専用というイメージがあるが、チューンの仕方によっては普通の実用車にこそ最適といえる。もっとシンプルなフィアット系のデュアロジックや、ルノーのクイックシフトのように、単に従来のクラッチ動作を油圧化しただけのものは、変速のたびに船の櫓を漕ぐがごとく加速に波を生じてしまうが、コチラは2つのクラッチと3軸の歯車の組み合わせで、前のギアを断つと同時に次のギアへ繋いでしまうから、パワーの流れが途切れない。滑らかな変速が可能だ。
またトルクコンバーター式のATと違って、スリップによるパワーロスがない。アクセルペダルを踏んでもエンジン回転とダイレクトに繋がっていないズルズルした間接感があるATに比べ、はるかに精度の高さを感じさせる、しっとりした高級感あふれる走行感覚を提供してくれる。燃費効率の点で有利なのも美点である。