「V8ヴァンテージ」は、アストン・マーティンのなかでも小粋なモデルだ。
2シーターのボディ全長は4380mmと短く、小回りが効く。オーバーハングを詰めて、ホイールベース内に重量物を収め、ヨー方向の慣性能率を小さくし、さらにギアボックスを後方にマウントして前後重量配分に気遣ったりと、FRスポーツカーとしてのレイアウト上、最善の策を採る。アルミ軽合金をふんだんに採用して全体の軽量化に配慮していることも見逃せない。とにかく、ドライビングを楽しくさせる手立てを書き出すとキリがない。
今回の試乗車はそのオープン版で、見た目のスタイリングはご覧のとおり。手造りでしか成しえない丁寧な作り込みは、いつまで見ていても飽きない。
白いボディに赤内装(と赤い幌!)という派手な出で立ちも、最初は「ちょっと目立ち過ぎるかな……」と気になったものの、走り出してしまえばドライビングの楽しさに熱中するあまり、気にならなくなってしまう。
クーペのスタイリングももちろん素敵だし、ボディ剛性の点でもあちらが有利ではあるが、このオープンボディとて剛性に不満があるわけでもなく、ガッシリした造りが実感できる。車体四隅の軽さと、上に重いものが無いことによる、解放感だけでない重心高の低さがしっかりと伝わってくる。価格のことさえ忘れられれば、どんなタイトコーナーでも狭い道幅でも、自信をもってインを攻められる気がする。