マセラティは、ちょうど1年前、2008年のジュネーブショーで「グラントゥーリズモS」をデビューさせた。その場にいた自分は、内容を見て驚いた。簡単にいえば「グラントゥーリズモ」のスポーツモデルなのだが、それにしては変更点が多かったからだ。
フェラーリから供給されるV8エンジンは、排気量を4.2リッターから4.7リッターに拡大してある。ヘッドカバーを青から赤に塗り替え、最高出力は440ps/7000rpm、最大トルクは50.0kgm/4750rpmと、35psと3.0kgmのアップを達成している。
ただしこの数値は排気量だけによるものではない。その証拠に、今年発売された「クアトロポルテS」の4.7リッターは430psにとどまっている。
さらなる注目がトランスミッションだ。クアトロポルテやスタンダードのグラントゥーリズモがエンジン直後にトルコンATを積むのに対し、こちらはリアアクスル直前に2ペダルMTを搭載したトランスアクスルとなっている。おかげで前後重量配分は49:51から47:53とリア寄りになった。
マイナーチェンジ前のクアトロポルテに積まれていたメカと似ているが、現行のマセラティではグラントゥーリズモS専用。しかもスポーツモードを選択すると変速時間を0.1秒まで短縮するという「MCシフト」なるロジックまで組み込まれている。
ここまで専用メカをふんだんにおごりながら、エクステリアに目立った違いはない。ホイール/タイヤが19インチから20インチになり、サイドスカートが追加され、トランクリッド先端のリップスポイラーが高くなったぐらいで、顔つきは同じだ。でも前述したように中身は激変している。マセラティらしい粋な差別化だ。