ウィッシュのフルモデルチェンジは6年ぶりだそうである。最近は日本車のモデルライフが伸びたとはいっても、平均は5年くらいだから、初代ウィッシュはかなりの長命モデルだった。で、そんな6年という歳月を経て登場した新型ウィッシュだが、正直なところ、ブランニューならではの新鮮味はあまりない。
もちろん内外装のデザインはすべて新しい。しかし、5ナンバーが基本のローハイトミニバンという基本形はもちろん、1590mm(FF)という全高も、2750mmのホイールベースも、最近では少数派となったスイング式のリアドアも、そして基本的なエンジン排気量も、すべて先代と変わりない。さらに、クルマの土台となるいわゆるプラットフォームもまた、6年前に発売された初代の改良版である。
シート設計でもセカンドとサードは初代からの流用で、ミニバン開発の必須項目であるシートアレンジも、初代と寸分のちがいもない。パッケージ関連における新しさといえば、Aピラーの前出しと薄型シートバックの新設計フロントシートくらい。これで後席レッグルームが30mm拡大して、心理的開放感もわずかに進化したともいえるが、レッグ以外の“なんとかルーム”という空間数値はまったく拡大していない。
じつは先日、新型ウィッシュの開発エンジニアの皆さんにインタビューする機会があったのだが、ユーザーや販売現場から出てきた初代の不満点は「ホイールサイズが小さめで見た目が貧弱」という程度のものだったという。室内空間も、スタイルも、走行性能も、シートアレンジも、ドア形式も、質感も、価格も、すべて不満なし……どころか積極的に好評。販売台数もモデル末期まで安定して上位キープ。初代が長寿となったのも特別な理由があるわけではなく、「無理してモデルチェンジする必要がなかったから……」という結果論っぽい。