トヨタは「クラウン」を作らせると本当にうまい。新型「マジェスタ」に乗ってそれを再確認した。100km/h以下での快適性や静粛性にターゲットを絞った設計思想にブレはなく、コンセプトの合焦度はトヨタ車でダントツといえる。その世界観は欧州のプレミアムブランドの対極といえるけれど、ここまで明確な個性を突きつけられると、海外のライバルと比較して優劣をつけようという気にすらならない。天晴れである。
しかも新型は、高級車としての資質が成長してもいる。従来はロイヤルサルーンなどと共通だったホイールベースを75mm延長したおかげで、後席まわりが広くなったのはもちろん、プロポーションは伸びやかになり、乗り心地には落ち着きがプラスされている。もともとソフトなクルマが好きな自分にとって、このクラスではかなりお気に入りの1台になりかけた。
でも完全なお気に入りにならなかったのは、シートがイマイチだからである。事実上国内専用車(今後は中国でも売るようだが)とはいえ、1時間で腰に疲労を覚えるというのは、それ以外のデキがいいだけに残念。日本の風土習慣に根ざした高級車という立ち位置はわかるけれど、畳文化の悪い部分が出てしまったような気がする。せめてイスだけは西洋を見習って開発してほしかった。