ポルシェ911が、水冷の996型へと移行して約2年後。空冷時代のようなストイックでスパルタンな911への郷愁の声の高まりに応えるが如く世に出たのが、ポルシェ911 GT3である。あれから早10年。数度の進化を重ね、GT3としては4世代目のモデルがいよいよ登場した。
昨年のカレラシリーズの大幅な進化ぶりからすれば、新しいGT3にも同様の進化が期待されるのは無理もないだろう。しかしシュトゥットガルト近郊の街で対面した新型GT3には、新世代の直噴エンジンやPDKと呼ばれる7段デュアルクラッチギアボックスは搭載されていなかった。つまり単なるスキンチェンジ? いやいや、ポルシェがそんなことをするわけが無い。新型GT3は、パフォーマンスと日常性をともに引き上げた、期待に応えるモデルに仕上がっていた。
最大の目玉はエンジンだ。その排気量は先代の3.6から3.8リッターに拡大され、無段階バルブタイミング可変機構のバリオカムが、吸気側に加えて排気側にも搭載されている。結果として最高出力は20psプラスの435ps、最大トルクも2.5kgmプラスの43.8kgmにまで高められた。ちなみにエンジンブロックは新型ではなく、これまで同様の911 GT1用をルーツにもつM64型である。
トランスミッションは6段MTのみ。PDKは重量が嵩むからという説明もあったが、実際のところは、まだどれだけ需要があるか掴み切れていないということだろう。M64ユニットは寸法からなにから新世代ユニットとは違うため、カレラシリーズ用のPDKを持ってくれば簡単に付くというわけではないのだ。とはいえ、フェラーリもランボルギーニも、今やエボリューションモデルは2ペダルである。ニーズは必ずあるはずだ。あるいは客層は微妙に変化するかもしれないけれど。