E550アバンギャルドは、梅雨の到来を示す大雨の朝、我が家の前にやってきた。白い色だったためか、それとも分厚い水滴のフィルターが間に入っていたためか、写真ほどアグレッシブには見えない。テールからの眺めなんて、むしろ日本のクルマよりも控えめだ。
車内に乗り込んで、腰を落ち着けた瞬間に背筋がビシッとなった。シートが良くなったとすぐに気がついたからだ。近年のメルセデスのシートは、クッションもバックレストも妙に中央が落ち込んでいるというか平板で、身体が分厚い人間以外はかなり合いにくいものが多いのだが、このEクラスは一昔前の「メルセデス・シート」が戻ってきた感じだ。中央部がしっかりと身体を支えてくれるから、サイズが大きいわりにはしっくりと馴染むし、体格を問わずにサポートがいい。
ダッシュの光景も従来に比べると多少色気は演出しているが、基本的に明瞭な情報伝達優先で、相変わらず古典的な時計がタコメーターと同格に扱われている。ドイツ人というのは周囲の環境を数字で知るのが好きで、家の中にも時計に加えて温度計は無論、湿度計、気圧計などを並べている人が多いが、なんとなくそんなドイツの家を思わせる風景がドライバーの前に広がる。
こういうところも含めて、メルセデスというのは骨の髄までドイツ人的で、こんなところからも好き嫌いがはっきりするのだろう。そう考えながらSクラスと同様にコラムに移されたATセレクターをDに入れて動き出すと、AMGルックには似つかわしくない落ち着きと静かさとともに、大分でかくなったボディはのんびりと腰を上げた。