「スパイダー」を名乗る“ボクスターファミリー3番目の兄弟”が、ポルシェのヒストリーの中でも特に重要な、往年のいくつかのミドシップ・オープンモデルにオマージュを抱いた存在である事は言うまでもないだろう。実際、サイドシル上部を彩るちょっと懐かしい書体の「PORSCHE」のロゴなどは、そうした思いが象徴的に表現されたアイテムだ。
しかし、ポルシェというのはいつの時代においても、単なるノスタルジーのみに頼ったクルマづくりなどは行った試しがない。2009年の自動車シーンを締めくくるイベントであるロサンゼルスモーターショーでワールドプレミアが行われた、この「ボクスター スパイダー」も、まさにそうしたクルマづくりのフィロソフィーをあらためてアピールする存在。そして、今回そこに盛り込まれたテクノロジーの主役は、ずばり「軽量化」だ。
価格や生産性に課題を残す特殊な素材を用いるわけではないにも関わらず、周辺ライバル車に比べるとトータルでは極めて軽いのがポルシェのスポーツカー。そんな特徴の持ち主であるボクスターをベースとしながら、さらなる徹底的な軽量化にトライしたのがこのボクスター スパイダーだ。そうした結果によるMT仕様で1275kgという重量は、同じ3.4リッターの心臓を積む「ボクスターS」に比べて80kgのマイナス。加えて、20mmローダウンの専用サスペンションの装着や電動ソフトトップを脱ぎ捨てたことなどにより、重心高は25mmダウンされたという。
そう、「ストライキングドーム」なる膨らみを備えたアルミ製リアリッドを手に入れて、オリジナルモデルとは一線を画した魅力的なリアビューを見せつけるスパイダーは、ボクスター13年の歴史の中にあっても最も“走り”に特化した1台。そんなモデルの国際試乗会が、冬なお陽光眩しい米国はカリフォルニアを舞台に開催されたのは、半ば当然だろう。何故ならば、“手動巻上げ式”の簡易型ソフトトップを標準装備するとはいえ、そこはあくまでも「デフォルトの姿はオープン」というのがこのモデル。テストドライブを晴天の下で行えることが、必須の条件であるからだ。