ランドローバーは今のようにSUVが大衆化するはるか昔、60年も前から、一部の裕福なユーザーにとって便利で実用的な“高性能万能車”を造ってきた。最近になってドイツ車勢がこの市場にも参入してきたが、単に高価格で高性能なだけでは“高級なクルマ”として評価されないのもまた、自動車社会の面白いところである。それは歴史と品性がかもし出す威厳ともいえる領域のことなのであり、彼等が一朝一夕にして手に入れられるものではないだろう。
そのランドローバー社の旗艦である「レンジローバー」が、マイナーチェンジを受けた。ただし、小変更といっても、内容的には大きく進化している。
外観の変更は写真でご覧のように、ランプ類やラジエターグリルなどの違いにとどまるが、大きなところでは、エンジンと変速機が新しくなっている。用意されるエンジンは、ジャガーとの共同開発による5リッターV8で、NAとスーパーチャージャー付きの2種類。それぞれ375psと510psにチューンされた新型ユニットは、もちろん時代を先取りしたもので、燃料の直噴化はもとより各種の可変機構などを備え、燃費と排ガスにも配慮がなされている。
「レンジローバー」ラインとしては、レンジローバースポーツと今回試乗したレンジローバーヴォーグがあり、エンジンとの組み合わせにより、(レンジローバーと名の付くモデルとしては)合計4機種となる。変速機は6段ATのみ。価格はスポーツの754万円からで、試乗車のスーパーチャージャー付きヴォーグでは1554万円に達する。なお、これら価格には「CO2オフセット・プログラム」の費用が含まれており、二酸化炭素の削減プロジェクトに資金が提供されることで、自動的に新車から7万2000km走行分のCO2が相殺されることになっている。