「タントエクゼ」は「ミラ」に対する「ミラココア」、「ムーヴ」に対する「ムーヴコンテ」と同様の“タントをベースにした派生モデル”という位置づけだ。しかし、実際には内外装がまったく別デザインであるだけでなく、自慢のピラーレススライドドアを省くなどボディ構造から異なるから、これをタントベースといっていいのか……という疑問も残る。
もっとも、考えてみればミラとココア、そしてムーヴとコンテも内外装はそれぞれが専用デザインで、プラットフォームは対照的にミラからタントまで全車共通である。だから、エグゼが「タント」という名を冠する理由はベースモデルうんぬんより、1.7mオーバーという全高にあるのだろう。全高1.5m級がミラ、1.6m級がムーヴ、1.7m級がタント……というブランドの戦略のようだ。
完全に子育て世代をターゲットとしたタントに対して、エグゼはそれより若い世代をねらって、リアドアをスライド式から一般的なスイング式にし、シートも多様性より座り心地を優先したところがキモ。つまり、子供がいる生活のための特化機能を省くことで、初代タントあるいは「ワゴンR」などのハイトワゴンのユーザー層を取り込もうというわけだ。
タントとの差別化はかなり細部にわたる。内外装デザインがタントとまったく別物なのは冒頭にも書いたが、Aピラーを寝かせて全高も20mm減、シートも座り心地を重視して厚く大型化し、後席にスライド機構も追加。さらにエグゼ最大の売り装備として、インテリアに妖しく光るブルーLEDのイルミネーションをそこかしこに埋め込んでいる。エグゼのシートは確かに心地いい。ムーヴコンテにも似て、ひと昔前のフランス車のように柔らかいタッチで、走り出しても見た目以上にホールド性がいい。