正直言ってわかりやすいクルマではない。目を見張るほどスタイリッシュとは言えないし、カテゴライズも難しい。広告などを見ると単に「BMWグランツーリスモ」とだけ紹介されているこのクルマは、しかし実際に付き合ってみると、これがなかなか味のある存在のようだ。
それにしても不思議な格好である。スリーサイズは全長5000mm×全幅1900mm×全高1565mm。ホイールベースは7シリーズの標準ボディと同じ3070mmだが、全長はより短く、背が高く、しかもテールゲートを備えている。最近ヨーロッパではテールゲート付きの4ドアクーペが増えているが、このクルマのパッケージングは、地上高を抑えたSUVととらえるほうが適当なように思える。
サッシュレスのドアを開けて前席へ。乗り込みがしやすいのはセダンより高めのヒップポイントのおかげだ。シートポジションも低めではどうもしっくりこない。色々試していくうちに、落ち着いたのは比較的高めの設定だった。ステアリングホイールの位置が高く、やや上向きの角度がついているからである。
これは偶然ではなく、BMWのそう座らせたいという意思によるものだろう。たしかに視界は全方位に良好だし、周囲のクルマよりわずかに高い目線が嬉しい。SUVほど極端ではなく、また周囲に対して威圧的でもなく、しかしセダンとは明らかに違った開放感、あるいは一種の優越感が味わえるのだ。