今、もっとも勢いがあるプレミアムブランド、アウディ。躍進の理由はいくつもあるが、すき間をすべて埋め尽くすような勢いのラインナップの拡充は、その中でも大きなポイントを占めているはずだ。幅広い顧客にアピールするという意味でもそうだし、ボリュームが増えてくれば「他人と違うクルマに乗りたい」というニーズに応えるべく新しい選択肢を用意する必要も出てくる。アウディは適切な時期に適切なモデルを投入し続けることで、見事、そのサイクルを拡大してきたわけである。
「A5スポーツバック」も、まさにそうした1台といえる。主力の「A4セダン/アバント」は当然、ますます台数を伸ばしており、かつてのように乗っているだけで優越感が得られるというものではなくなっている。しかし、だからといって2ドアの「A5クーペ/カブリオレ」には手が出ない。そんなユーザーがターゲットなのだ。
ハードウェアの完成度も、その狙いにうまくハマッている。似たようなところを狙ったか、すでに他ブランドには4ドアクーペも存在しているが、A5スポーツバックにはさらに、大きく開くテールゲートと広大な荷室という大きな武器がある。見た目にスタイリッシュで走りだってスポーティ。なのに後席に人を乗せる場合でもしっかり使えて、かつ、いざとなればアバントにも匹敵する収納力を見せつけるのだから、いいところを突いている。
あくまでニッチであり、それほどの台数を期待しているわけではないとアウディジャパンは明言しているが、立ち上がりは思いのほか良かったらしい。いまアウディを選んでいる人の趣向を考えれば、それも納得というものだ。
すきの無い市場リサーチ、鋭いコンセプト立て、そしてそれを具現する開発能力などなど、あらゆる面で今のアウディらしさが際立つA5スポーツバック。個人的に、もし「アウディ、どれ買ったらいい?」と相談されたら、まずはコレを薦めてみるだろう。