ポルシェが掲げる「最新モデルこそ最良モデル」という評価は、この「997型911」の場合にも当てはまる。現状に満足することなく、小規模であれ絶えず改良を続けていくことは技術者としての務めであるが、トップの座に甘んじることなく前進を続ける、そんなメーカーの姿勢は人気を維持している秘訣(ひけつ)でもある。そして実際に乗ってみれば、変更点として明記されていない部分もブラッシュアップされていることに気が付くのが常である。ポルシェの過去を振り返れば、「技術的な洗練こそが自動車の歴史的進化だ」ということの正当性が証明されることになる。
今度の「911ターボ」は、排気量を3.8リッターに拡大して、出力も480psから500psにアップしている。これまでの例では、ターボ過給の場合は、比較的少ない排気量に固執してきた。シリンダー個々のボアが小さくなればシリンダー壁は厚くなり、ストロークが小さければコンロッドは長くとれる。それが、信頼性を確保する常とう手段でもあったからだ。そのオキテを破ったことは、また一段階技術的な問題が解決された、ということになろう。
耐久性などに関する「本当のところ」は、実際に長期間試してみなければわからないが、過給圧のコントロールが巧みになったことは明らかだ。無造作にフルスロットルを与えても500psを瞬時に破壊力へと変えることなく、ジンワリと駆動力を増す、その加速感からもそのことはわかる。駆動力が4輪に分散される、4WDの駆動方式もそれを助ける。