胸を高鳴らせながら向かった「プジョーRCZ」の試乗会、80分枠×2の前半を終えたところでは1対1の引き分けだった。いまいちスカッとしないというか、残念な感じ。
日本仕様の「プジョーRCZ」は、156psの1.6リッターエンジンに6ATを組み合わせた右ハンドル仕様と、同じく1.6リッターながらチューンの高い200psのエンジンを6MTで操る左ハンドル仕様がラインナップされる。前半は6AT仕様に試乗したのだけれど、これが正直、パッとしなかったのだ。
別にどこが悪いというわけではないけれど、運転した感覚は実に平凡で、何を狙ったクルマなのかが曖昧(あいまい)だ。そのステキなデザインは運転していると見ることはできないから、しばらく乗っていると乗り心地の悪い「プジョー308」に乗っているような気分になる。ちなみにRCZは、308をベースにして開発された2+2クーペだ。
「でもこんなにカッコいいのだからそれだけでもうけもん、クルマの神様に感謝せんと」と、自分に言い聞かせる。アンジェリーナ・ジョリーが優しくて料理まで上手だなんて、そんなうまい話があるわけないのだ。だから眺めているだけであっという間に10分ぐらいたってしまうデザインと、退屈なドライブフィールで1対1の引き分けだ。大きかった期待を裏切った分、1対2の劣勢かもしれない。
ところが!! 左ハンドルの6MT仕様に乗ってブッ飛んだ。こいつはいい。西洋甲冑(かっちゅう)を着込んだ騎士のようなお面と、Aピラーからルーフを経てCピラーへと至る「アルミナムアーチ」、そしてルーフからリアウィンドウにかけて豊かに隆起する「ダブルバブルルーフ」デザイン。こういった要素が織りなすデザイン性の高さと、がっぷり四つに組んで負けないファン・トゥ・ドライブがあるのら。コーフンのあまり「あるのだ」と書こうとして「あるのら」とミスタイプしてしまうほど、「プジョーRCZ」(の左ハンドル6MT仕様)は楽しいクルマだった。