■ダイムラーとベンツ
クライスラー部門売却後、「ダイムラー・クライスラーAG」は「ダイムラーAG」と社名変更すると報道された。
1998年以前、つまり、クライスラー社と合併する前の社名は「ダイムラー・ベンツ」だった。この名ができたのは、1926年。シュトゥットガルト市の「ダイムラー・モーター会社」とマンハイム市の「ベンツ・ライン川ガスエンジン工場」が合併した年だ。
ご存知の通り、「ダイムラー」は自動車のパイオニア、ゴットリープ・ダイムラー氏のこと。ダイムラー氏はシュトゥットガルト市で高回転のガソリンエンジンを開発し、1885年に自転車、翌1886年の10月には4車輪の馬車に搭載したことで、オートバイと4輪自動車の発明者とされている。
ほぼ同時に「ベンツ」のカール・ベンツ氏がマンハイム市で3輪自動車を開発、1886年1月に特許を得た。
ちなみに、ベンツ氏の妻、ベルタ・ベンツ夫人も“パイオニア”の1人で、夫に内緒で1888年8月に世界初の長距離運転を試みた。学校の休みに入った2人の息子たちと一緒に106キロ離れた町、プフォルツハイムまで自動車を走らせ、その実用性を証明したのだ。このことが、当時まだまだ疑問視されていた自動車の成功へつながった。
その後、ダイムラー氏とベンツ氏はそれぞれクルマの量産に乗り出し、ライバルとなった。
両社の合併は、2人ともこの世を去ってからのこと。お互い、一度も会ったことがないといわれる。