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最終戦ライコネン優勝で大逆転、初タイトル獲得!【F1 07】
(07.10.22)
ニュース
3位にはフェルナンド・アロンソ(右)。1点差の109点でライコネンにタイトルを奪われた。(写真=Ferrari)
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【F1 07】最終戦ブラジルGP、ライコネン優勝で大逆転、初タイトル獲得!
F1世界選手権第17(最終)戦ブラジルGP決勝が、2007年10月21日、ブラジルはサンパウロにあるアウトドローモ・ホセ・カルロス・パーチェ(通称インテルラゴス/4.309km)を71周して行われた。
ハミルトンか、アロンソか、ライコネンか――三つ巴で迎えたチャンピオン決定戦、もっともタイトルから遠いドライバーが、1点差で栄冠を勝ち取った。
28歳のフィンランド人、キミ・ライコネン。GP出走122戦目、デビューから7年目に、フェラーリを駆り、優勝という最良のかたちで初タイトルを獲得した。
既にコンストラクターズタイトルを手に入れているフェラーリは、“ポスト・シューマッハー”時代1年目にダブルタイトルを獲得した。
ポールシッターのマッサ(手前右)、3番グリッドのライコネン(同左)が好スタート。2番グリッドのハミルトンは、マッサの後方で行き場を失い、アロンソにも先を越され4位に。その後コースオフ、マシントラブルで大きく後退し、結果7位。スーパールーキーは惜しくもタイトルを逃した。 (写真=Ferrari)
マクラーレンにとっては、鳶に油揚げ。ポイントリーダーとして初のルーキーチャンプを目指したルイス・ハミルトンは、スタートで順位を落とし、コースオフし、マシンが不調に陥り、最後は7位でゴールするもタイトルには届かず。
チームとの軋轢で孤軍奮闘に追い込まれたフェルナンド・アロンソは、精彩を欠き3位でゴール。フェリッペ・マッサが2位に入りライコネンをサポートしたことにより、3連覇は夢と消えた。
以下、4位にウィリアムズ・トヨタのニコ・ロズベルグ、5位BMWザウバーのロバート・クビサ、6位BMWのニック・ハイドフェルド、7位ハミルトン、8位トヨタのヤルノ・トゥルーリらが入賞した。 アレキサンダー・ブルツの引退でウィリアムズからF1デビューすることになった中嶋一貴は、途中ピットクルーを轢くハプニングを起こしながらも10位でフィニッシュした。
ホンダの2台は、ルーベンス・バリケロ、ジェンソン・バトンともにリタイア。スーパーアグリは、佐藤琢磨12位、アンソニー・デイヴィッドソン14位でそれぞれ完走した。
スパイカー・フェラーリの山本左近は、スタート早々にクラッシュ、戦列を去った。
2007年シーズンは、22歳のハミルトンの大活躍が最大のニュースといえる。タイトルは逃したが、9連続表彰台、優勝4回、ポールポジション6回という成績だけでも驚きである。(写真=Mercedes Benz)
■最終戦決戦の重圧――ハミルトン
2人のライバルに対し4点以上のマージン、予選でポールシッターのマッサに次ぐ2位、背後にライコネン(予選3位)とアロンソ(同4位)……ハミルトンがタイトルを奪うための諸条件は、レースを前に着々と整い始めていた。
優勝せずとも、このままトラブルを避け、ひたすらコンサバなレースさえすれば、史上初のルーキーチャンプとして名を残すことができる。
しかし、そんな無難なレースができないところに、最終戦決戦の重圧をうかがいしることができる。
スタート後の第1ターン、ハミルトンは絶妙の出だしのライコネンに先を越され、直後にアロンソにも抜かれ4位に。
あわてる必要もないはずなのに、3位アロンソのアウトから強引にかぶせようとしてコースオフ。オープニングラップで8位まで順位を落とした。
8周目、さらに致命的といえる問題発生。レース前に不安視されていたギアボックスがぐずりだしスローダウン、およそ40秒ものタイムを失い、18位という絶望的なポジションまで墜落した。
その後、ギアボックスに爆弾を抱えながら、急遽3ストップ作戦に変更し、ときに危険をおかしながらも前車をオーバーテイク、なんとか7位まで挽回しゴールした。
ハミルトンは、タイトルこそ逃したものの、9戦連続表彰台、優勝4回、ポールポジション6回という、ルーキーらしからぬ輝かしいリザルトを残し、デビューイヤーを終えた。
合計ポイントは109点。くしくも、パートナーとしての関係性に難儀したチームメイト、アロンソと同点だった。
「たしかに、今日の結果はとても残念に思う。シーズン大半をリードしながらチャンピオンシップをとれなかったのだから」という22歳のイギリス人。
「でも見方を変えれば、僕にとって今年はF1最初の年だったわけだし、全体的には驚くべきことなんだ。僕はまだとても若いし、ワールドチャンピオンになるという僕の夢を叶える時間もたくさんある」
年齢不相応のこの落ち着きは、コース上だけのものではなかった。常に礼儀正しく、いつでも誰にでも笑顔を振りまき、そしてすばらしく速い。ハミルトンには勝者の品格が既に備わっている。間違いなく、稀にみる逸材である。
2001年ザウバーでGPデビューを果たしたキミ・ライコネン。マクラーレンでの5年間で逃してきたタイトルを、シューマッハーが去ったフェラーリで手に入れた。(写真=Ferrari)
フェラーリはチームプレイでドライバーズタイトルを獲得。大逆転チャンピオンとなったライコネンの影には、僚友フェリッペ・マッサの2位入賞というサポートがあった。(写真=Ferrari)
■追うものの強み――ライコネン
優勝しても10点“しか”手に入らない状況で、7点ものビハインドを覆すのは並大抵のことではない。ましてやシーズンをとおして信頼性に長けたマクラーレンを前にしては……。
ライコネンの最終戦にのぞむ姿勢はきわめてシンプル。自分は最高の結果だけを追い求め、あとは他者に起こる“なにか”を待つしかない。
いや、もうひとつ、彼には強力な助っ人がいたことが大きかった。母国ファンを前に気合の入る僚友マッサである。
チャンピオン争いから既に脱落していたマッサは、チームプレイに徹することができた。そして、優勝を狙える十分な速さを持ちあわせていた。
ポールポジションからトップを快走するマッサが、50周に2度目のピット作業を終えると、ライコネンが猛チャージをかける。53周目にライコネンがピットからコースへ戻ると首位逆転、フェラーリの1-2フィニッシュが、理想的なかたちで完成した。
かりにアロンソが2位に入れば、ライコネンが優勝したとしてもアロンソがチャンピオンになる。ライバルを含めた多くの要素がライコネンに味方した結果の大逆転劇だった。
2003年にミハエル・シューマッハー、2005年にはアロンソにタイトルを奪われた“アイスマン”。
開幕戦オーストラリアで勝利するも、以降はマクラーレンの後塵を拝するレースが続いた。フランス、イギリス連勝で息を吹き返し、シーズン後半はベルギー、中国、ブラジルと勝ち、念願の栄冠を手中に収めた。
サーキットに残らずホテルにすぐ帰る、パーティ大好き、受け答えがそっけないなど、ライコネンを否定的にみる向きもあったが、巨星シューマッハーが去り大きく生まれ変わろうとしているスクーデリアで、彼は彼なりのコミットメントをみせてきた。
マクラーレンの2人がコース内外で争いをヒートアップさせている間、タイトル圏内に常にい続け、しぶとく、しかしクールに戦った男は、デビュー7年目にしてようやく頂点にのぼりつめた。
マクラーレン移籍前のアロンソの弱点は、チームメイトが自分より速いときに多々みられた。予想以上のパフォーマンスを発揮するチームメイト、ハミルトンに焦りを募らせるチャンピオン。チーム批判やネガティブな言動により次第に孤立の度合いを深めていった。タイトルを守れなかったばかりか、チャンピオンとしての品格に疑問符がつくシーズンに。(写真=Mercedes Benz)
■チャンピオンの苦悩――アロンソ
2年連続チャンピオンとなったドライバーを迎えた価値とは、いったいどんなものだったのか。もっとも過酷で長い1年を終えたマクラーレン首脳陣は、自問自答しているに違いない。
シューマッハーを負かした最後の男、アロンソをルノーから招き入れたマクラーレンは、GP2チャンピオンのハミルトンと組ませ、王者のノウハウと若手の勢いを武器に新時代をつくりあげようとした。
それが、フェラーリの極秘情報を盗んだとされるスパイ問題でコンストラクターズポイントを剥奪され、そしてドライバーズを含め両タイトルを宿敵フェラーリに奪われた……。
アロンソのチームへの影響は、シーズンが進むにつれ、とくにネガティブなかたちで露呈されることになる。
第2戦マレーシアで早々に優勝したチャンピオンだったが、ハミルトンという最大のライバルの出現に焦りを募らせ始めた。
トヨタは、コンストラクターズランキング6位(13点)で2007年を終了。5位のレッドブル(24点)、エンジンを供給する4位ウィリアムズ(33点)にはかなわず、特筆すべきリザルトを残せなかった。とくに今季限りでチームを離れるラルフ・シューマッハー(写真手前)の不調が痛かった。(写真=Toyota)
ホンダにとっては最悪の2007年。なんとかジュニアチーム、スーパーアグリを上まわりコンストラクターズランキング8位で終わったが、圧倒的なマシンの不出来に僅か6点しか獲得できなかった。(写真=Honda)
事実上、2006年型ホンダをモディファイし戦ったスーパーアグリ。スペイン、カナダでの佐藤琢磨の得点により、コンストラクターズランキング最後尾の座からは逃れた。資金不足という、マシン以外の課題に直面した1年だった。(写真=Honda)
ただのルーキーならまだしも、ハミルトンはマクラーレンの秘蔵っ子。チームのボス、ロン・デニスとハミルトンの蜜月ぶりが、アロンソのチームへの不信感を煽ったであろうことは想像に難くない。
2人のドライバーにイコールコンディションで戦わせることを表明しているマクラーレンに、チャンピオンとしての価値を認めさせるべく、マシンの開発にもチームづくりにも大きく貢献してきた自分にもっとサポートをくれ、ナンバーワンとして扱えと、アロンソはアピールしてきた。
その間、ハミルトンは連続表彰台記録を伸ばし、着々とポイントを稼ぎ、新チーム、そしてブリヂストンタイヤの扱いにてこずるアロンソを突き放す。
チームと2人のドライバーの緊張関係は、第11戦ハンガリーGPで爆発。予選でハミルトンのアタックを妨害したアロンソは、以降、孤立無援で戦わざるを得なくなった。
第13戦イタリアGPで4勝目をマークし、ハミルトンとの間に数点を挟んでの攻防戦をこなしてきたが、4点ビハインドで迎えた最終戦では、今年多くみられた精彩を欠く走りしか披露できず、3位でフィニッシュ。1点差で3連覇を逃した。
平等に戦わせながら、あるひとりのドライバーに加担しがちなデニスの性格を指摘する関係者も多い。かつてのアイルトン・セナが、ミカ・ハッキネンがそうであったようにと。
ハミルトンが12歳の時から手塩にかけて育ててきたデニスに、その気持ちがあってもおかしくはない。
だからといってアロンソに同情すべきかといえば即答しかねる。激情しものにあたることもあれば、スパイ問題に関連する決定的な証拠――自らの関与を認めるメールの存在――でチームと取り引きしようとする場面もみられた。
スペインが誇るチャンピオンは、満身創痍でマクラーレンでの1年を終えた。チーム残留か、はたまた移籍か。まだ明らかにされてないが、正直前者だとはとても考えにくい。
(文=bg)
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