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アメ車は絶滅するか!? 新「燃費規制法」の影響を探る(前編)
(08.01.28)
ニュース
■
アメ車は絶滅するか!? 新「燃費規制法」の影響を探る(前編)
環境問題が注目され、ますます燃費向上への期待が高まる北米社会。アメ車の行く末は、ご当地アメリカではいったいどうなるのか?……現地からのリポート。
ダッジブランドの大排気量スポーツカー「ヴァイパー」。マッスルカー冬の時代である。
こちらはスバル北米仕様車の面々。
アメリカ上下院で「エネルギー自給・安全保障案」が可決され、ブッシュ大統領は2007年12月19日、同法案に署名をした。同法案の柱は、「CAFE」(Corporate Automotive Fuel Efficiency:企業平均燃費)を2020年までに現在より約40%向上させることである。
CAFEとは? 各メーカーのモデル別燃費を新車販売台数で加重平均したもの。その値は、EPA(米国環境保護庁)が定めるEstimated Mileage(実走行燃費)で表示される。量産車の場合、この値はシティ(市街地)/ハイウエイ(高速走行)で区分け表示され、その合算平均値がCAFEとなる。
現状のCAFEは、乗用車とライトトラック(SUV、ピックアップトラック、ミニバン)の2つに分類されており、乗用車が27.5MPG(11.7km/リッター)、ライトトラックが22.2MPG(9.4km/リッター)に定められている。今回の法案成立によって、2020年までに乗用車、ライトトラックともに、35MPG(14.9km/h)を達成しなければならない。CAFEは1975年に制定され、1978年モデルから試行されたが、今回のような大幅な改善案の事例はない。
なお、EPAの測定方法は、2008年モデルから実走行により近い状態での実施となり、各メーカーモデルのEPA値が減少している。
また、同じ12月19日、EU(欧州連合)の欧州委員会が、新たな二酸化炭素排出規制を発表し、2012年までに今より約20%削減となる130g/リッターを提示した。欧州各メーカーからは、「実現不可能」という声が挙がっており、同法案が最終的にどの値に落ち着くかは不明である。
このように厳しい環境規制が世界的に広がるなか、日本車にとって世界最大の自動車消費国であるアメリカの、各メーカーの動向が気になるところ。なぜなら、アメリカでの販売収益によって日本国内の販売不振分を補っているのが、日系メーカーの経営実情であるからだ。
では、以下に、アメリカ国内販売上位の日米メーカーの排気ガス対応策を挙げてみよう。
燃料電池量産車「FCXクラリティ」
■ホンダ
前述のCAFE/EPA値で、2007年全メーカー中トップの実績を誇るのが、ホンダだ。
2007年11月のロサンゼルスショーでは、世界初の燃料電池量産車「FCXクラリティ」を2008年中盤に販売すると発表した。さらに、2009年には、2.2リッター級のクリーンディーゼルエンジンを投入する。これは、触媒内にアンモニアの生成サイクルを作り、NOx(窒素酸化物)を窒素に変換する、世界初のシステムを搭載。ダイムラー社などが開発を進める尿素SCR(尿素水を事前注入する)とは大きく異なる。
搭載車種は「TSX(日本のアコード)」か「TL」が有力で、その後、「アコード(日本のインスパイア)」へ波及の可能性が高い。その他、パイロット(08年4月量産化)、アキュラMDX、リッジラインなど大型車用のV6ディーゼル投入も予想される。また、シビックとフィットの中間サイズでのハイブリッド車構想も明らかにした。
1970年代前半当時の米国排気ガス規制法(通称マスキー法)が施行された際、流体力学の権威と共同研究したCVCC(複合渦流調整燃焼方式)搭載のシビックが爆発的に売れ、アメリカでの事業基盤を確立したホンダ。「レーシングスピリッツ」から「エコロジー」へと、ホンダの社風転換は、さらに加速しそうだ。
写真は、トヨタの現地ブランド「サイオン」の「xD」(日本名はイスト)。
■トヨタ
アメリカにおける、クルマのエコロジー分野で先頭を行くであろうトヨタは、トヨタ/レクサス両ブランドで、ハイブリッド・フルラインアップ戦略を進めている。
燃料電池車開発では現在のところ、旧ハイランダー(旧クルーガーL)のボディを使った車両しか一般公開されていないが、先のホンダFCXクラリティ発表を受けて、近いうちに具体的な動きがあるはずだ。
ディーゼルエンジンについては、2008年中に「タンドラ」(フルサイズピックアップトラック)、「セコイヤ」(フルサイズSUV)への投入が決定。また、日産が「マキシマ・ディーゼル」を投入することもあり、北米Dセグメントの王者「カムリ」(2007年の北米販売台数は、約47万台!)のディーゼル対応も考えられる。
トヨタとしては、ハイブリッド&ディーゼルによる中大型車の燃費向上と、A/Bセグメント(日本のコンパクトカーに相当)市場の拡大を、バランスよく保つ方向になるだろう。
原油価格の高止まりや、サブプライムローン問題を発端とする景気減速が懸念されるアメリカ社会である。庶民のクルマへの意識は必然的にダウンサイジングへと導かれる。
ヤリス(ヴィッツ)や、北米専用のトヨタの小型車戦略ブランド「サイオン」各車に加えて、廉価版コンパクトカーのEFC(エントリー・ファミリー・カー)の北米導入の可能性もある。ちなみに、日本の中部経済新聞は2007年12月25日、同EFCの価格は約90万円で、搭載エンジンはインドネシア工場生産の1.2リッターガソリン/1.4リッターディーゼル採用すると報じている。
(後編につづく)
(文と写真=桃田健史(IPN))
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