トップニュース(リスト)日本のメーカーに必要か!? 〜モータースポーツのこれからを考える (08.12.22)
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 日本のメーカーに必要か!? 〜モータースポーツのこれからを考える
ホンダ、スバル、スズキが世界最高峰レースの舞台から退場する。しかし、そもそも日本の自動車メーカーにとってモータースポーツは必要なのだろうか? 世界中を飛び回ってきたリポーターはこう考える。
2008年のラリーGBを爆走するインプレッサ。この勇姿も来年は見られない……
■ひとときの夢

結論から言おう。「モータースポーツはもはや、時代にそぐわない」。

12月に相次いだ、ホンダF1、スバル、スズキWRCの撤退発表がその証明である。こうした事実を、自動車メーカー各社首脳陣は、随分前から認識していた。それでもなお、どうして50数億円(WRC)〜300億円強(F1)にも及ぶ大型出費を続けてきたのか。それは「イメージ戦略」という名の下の「夢追い」であった。

いま各メーカーの役員たちの年代である団塊の世代から上の男性にとって、「カーレースは男の夢」だった。60年代〜70年代の高度成長期と連動して、カーレースは社会の表舞台に躍り出た。それは流行の最先端であり、一般人にとっては「ナウくて、カッコいい、ヤングの世界」だった。当時人気の男性誌『平凡パンチ』(現・マガジンハウス刊)では「女、ファッション、クルマ」が三種の神器だったものだ。

21世紀を迎えるころになると、カーレースは「モータースポーツ」と呼ばれるようになった。一般人の憧れから「趣味人の世界」へ。F1人気のいまだ根強い欧州でさえ、ネット社会による世の中の平準化によってF1のオタク化は加速していった。
BRICs(ブラジル、ロシアなどの新興国)、中近東諸国などの各国は経済発展で「日本の高度成長期の焼き直し」になった。モータースポーツは自動車産業の成長とともに盛り上がるもの。日本のように産業が成熟しきってしまうと、世間一般には飽きられてしまう。
ホンダのF1マシン。地球カラーをまといながら世界を転戦した。
インディは現在、ホンダのワンメイク状態だ。
■どうにも割に合わない

そうしたなか、ホンダは苦悩したことだろう。長年のキャッチフレーズ「レーシングスピリッツ」はBRICsでは通用するが、日米欧では「次世代エネルギー」や「環境」のイメージとミスマッチ。そこで生まれた苦肉の策が“地球儀にみたてたF1マシン”だったが、その存在意義とコストパフォーマンスのバランスは取れなくなり、結果的にF1撤退となった。
それでもホンダはアメリカで、IRL(インディカー)を続行する。それは、ホンダがIRL唯一のエンジンサプライヤーであり、いまホンダが止めれば、アメリカの伝統インディ500が消滅の危機に瀕するからだ。ホンダが年間世界販売量のほぼ半分を頼るアメリカで、メーカーイメージを落とすワケにはいかないのだ。また、トヨタもF1、NASCARへの出資を今後、どのように振り分けるのか、思案しなければならない時期となった。2008年下期の世界的業績悪化を受けて、なんらかの動きがあるのかもしれない。

モータースポーツには、量産車への技術フィードバック、という重要な目的もある……はずだが、ホンダ、トヨタのレース関係者の多くは「いまやレーシングカーの開発は特殊過ぎるし、量産車のほうが進んでいる技術だってある」という。WRCにしても、昨今のWRカーは量産車との部品共用もほとんどない。三菱、スバル、スズキにとって、年間50億円ともいわれるWRCの運営費用は、割に合わないものなのだ。
世界同時多発的に発生した今回の自動車不況。モータースポーツにとって、社会の全てが逆回転を始めたのだ。こうなると、企業のバランスシート上、モータースポーツは「金食い虫」として淘汰されてしまうのが自然な流れなのだ。

今後、企業が支援するプロスポーツとして、モータースポーツをどう盛り上げたらいいのか? 400〜500km/hでの超高速走行はいかがだろうか。いまどき量産スポーツカー300km/hレベルでは、見る側にとって物足りない。つまり、スリルである。もうひとつは、プロレスのごときオオゲサな演出。つまりエンターテインメント性である。米NASCARは、そんな路線を歩むことで成功した事例だ。そこまでしなければ、もはやモータースポーツは生き延びられないのではないか?と筆者は大真面目に考える。
百十数年の自動車産業史上、最大の転機である現在。モータースポーツのあり方も、根本的に見直されるときなのかもしれない。

(文=桃田健史(IPN))


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