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星空のために幌を開けよう! (キャデラックXLR)
(05.06.20)
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【スペック】
全長×全幅×全高=4520×1850×1290mm/ホイールベース=2685mm/車重=1670kg/駆動方式=FR/4.6リッターV8DOHC32バルブ(324ps/6400rpm、42.9kgm/4400rpm)/価格=1200.0万円(テスト車=同じ)
見せびらかし、見られる快感!
キャデラックXLR(FR/5AT)
……1200.0万円
新世代「キャデラック」の旗艦「XLR」は、スタイリングと幌開閉時の派手な動作で目立ち度は抜群だ。自動車ジャーナリストの島下泰久は、いかにも無駄の多いこういうクルマがなくてはつまらないという。
■
あふれるエンターテインメント性
アート&サイエンスという新たな方向性を推し進める、新生キャデラックの旗艦であるXLRは、見ても乗っても、実に刺激的というかエンターテインメント性にあふれた存在だ。シャープな線と面で構成された超ロー&ワイドなそのフォルムは、たとえクローズ状態だろうと、街を走っていて目立つことこの上ない。
そんな集まる視線を、さらに釘付けにするには、おもむろに自慢の電動リトラクタブルルーフを開いてやればいい。大きなトランクリッドがほぼ直立近くまで開いて、仰々しくルーフをしまいこむまでの一連の動作は、この分野で先行するメルセデス・ベンツSLあたりと較べると、洗練されているとはとても言い難いものの、人目を惹く効果は抜群。大体、街なかでルーフを開閉させるなんて、本人にその気があろうとなかろうと、注目を浴びることは間違いない行為なのだ。だったら思いきり楽しませてやろうじゃないの。XLRのリトラクタブルルーフは、そんな精神に満ちている。
■
開放感は想像以上
もちろん楽しいのは周囲だけじゃなく、2人の乗員も大いに楽しめること請け合いだ。有名宝飾メーカーのブルガリが手掛けたというインストゥルメントパネルの質感は、頑張っているもののあと一歩といったところ。小物や鞄などの置き場があればベター……など気になる部分もあるが、居住スペース自体は2人にとっては十分なほど広いし、ふかふかの本革シートもそれらしい雰囲気を醸し出している。ウインドディフレクターの類いは備わらないため後方からの風の巻き込みはそれなりにあるとはいえ、それも含めてオープン時の開放感は見た目から想像する以上で、風に乗って走り出せば、最高の気持ち良さが味わえる。
キャデラックの名に恥じない、すぐれた乗り心地の貢献している度合いも小さくない。GM得意のマグネティックライドコントロールと呼ばれる磁気を減衰力制御に利用した電子制御ダンパーは、当たりが実にソフトで、路面のうねりも大きな入力も軽くやり過ごしてしまう。ユルユルと心地よい、その期待通りの乗り味は、クルマの性格によく合っている。だから風が巻き込むなと思ったら速度を下げればいいのだ。それでもXLRは退屈だなんて思わせない、極上の心地よさで包んでくれるはずである。
肝心なことは、だからといって走行性能がおろそかにされてはいないということだ。バネ下のしなやかな動きの一方で、ボディは常にフラット感が保たれ、速度を上げていっても不安定になるようなことはない。オープン時でも変わらずステアリングの正確性は高く、グランドツーリングカーとしての資質は相当に高いと言える。
【Movie】
・WindowsMediaPlayer
(4.0MB)
・QuickTime
(3.0MB)
(撮影/編集=カネヨシ)
なお動画を再生するには、QuickTime4.0以上、またはWindowsMediaPlayerが必要です。お持ちでない方は、
アップルコンピュータ
Windows Media:ダウンロードセンター
でダウンロードをお願いします。
■
無駄が多いから贅沢
心身ともに気持ちのいいツーリングには、もちろん、余裕のパフォーマンスを誇るエンジンの力も大きい。最高出力324psを発生する4.6リッターV8は、軽く流すようなシチュエーションでは粛々と、しかし充実したトルクを湧き出させる一方、右足にグッと力を込めれば排気量を忘れるほどの鋭さで迫力の吹け上がりを見せる。ビートの効いたサウンドも絶品で、これをダイレクトに聞くだけのために、オープンで走りたくなるほどだ。
ご存じの方もいると思うが、実はこのXLR、シャシーの基本骨格はコルベットと共通である。なるほど、その走りのポテンシャルの高さも、そう聞けばうなずけるところ。それでいて乗り較べても、コルベットとはまったく違ったテイストがそこにはしっかり表現されているから嬉しくなる。
理知的で合理的なヨーロッパのライバルと較べると、いかにも無駄が多いという感は正直あるが、それでこそXLRは、これだけ贅沢な存在になったのも確か。乗り手は、ドライバーもパッセンジャーも大いに選ぶけれど、それも含めて、オープンカーの否定できない歓びのひとつである見せびらかす嬉しさ、見られる快感においては、何をも凌ぐ1台である。こういうクルマ、やはりないとつまらないというものだ。
(文=島下泰久/写真=高橋信宏/2005年6月)
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