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LOHASカーNo.1は、どのクルマ? (スズキ・ワゴンR RR-DI)
(06.01.18)
月刊webCGセレクション
「プレミアム軽自動車」という矛盾
スズキ・ワゴンR RR-DI(FF/4AT)
……141万7500円
日本が世界に誇っていいのが、軽自動車というジャンルだ。サイズと排気量の厳しい制約がある中で、必要な機能を備えしかも安価に提供するという困難な課題をクリアしているのだから。しかし、長距離移動はあまり得意ではない分野かもしれない。
■
初代モデルから劇的に進化
クルマの維持費をできるだけ低く抑えたい。そう考えた時に真っ先に浮かぶのがクルマのダウンサイジング。それも軽自動車に乗るという選択だ。何せエンジンは排気量660cc以下と小さいから燃費には十分期待できるし、税金も小型車と較べてまだ格段に安いのだから当然である。そのせいなのか最近、軽自動車の販売は好調。とりわけ最近では、内装や装備が豪華な“プレミアム軽自動車”が人気を高めつつあるということだ。
スズキのベストセラー軽自動車、「ワゴンR」の最上級グレードである「RR」は、まさにそこに位置づけられるハイエンドモデルである。何しろ車両価格は141万7500円と、今回ともに連れ出した「ベルタ1.0X」を上回っているのだ。こうしたモデルが売れているということは、もちろん税金などを含めて考えれば結局はコストを抑えられるのだとしても、やはりもっと確固たる理由があるに違いない。
個人的には昔、CG編集部に長期テスト車として飼われていた初代モデル以来、久々に乗るワゴンR。基本的なパッケージングが変わっていないこともあって、ドアを開けて乗り込むまでの雰囲気もよく似ている。しかし、いざそのシートに腰掛けると、インテリアの仕立ては抜群に良くなっていた。黒を基調にメタル調のトリムをあしらい、視認性の良い丸型メーターを奢ったダッシュボードは、クオリティも十分高い。安っぽいけれど道具としての割り切りぶりが心地よかった初代のほうがいい、なんて言うのはへそ曲がりなのだろう。もちろん旧規格だった初代と較べれば、空間的にもさらに余裕を増している。
けれど走りっぷりは、あの頃の味わいをすぐに思い出させるものだった。乗り心地はいかにもボディやサスペンションが華奢な印象で、硬いけれど落ち着きがないし、ステアリングの手応えは曖昧で、当てずっぽうにエイッと切り込むと、背の高いボディのつんのめるような動きに一瞬思わず息を飲むハメになる。そりゃ当然、初代モデルより何百倍も進化しているのはわかるが、それでも走りの質はまだまだ低い。
ただし、世界でもまだ数少ない直噴ターボのエンジンは、パワー、フィーリングともに上々の仕上がりを見せた。実用域からトルク感は十分で、いきなり途中からパワーが盛り上がるようなこともなく、どこからでも気持ち良く加速してくれる。100km/h巡航時のエンジン回転数は3500rpmと、一般的なコンパクトカーと大して変わらない。おかげで室内はそんなに騒がしくないし、何より精神的にクルマに無理させちゃってるな……と思わないで済むのがいい。
【スペック】
全長×全幅×全高=3395×1475×1635mm/ホイールベース=2360mm/車重=860kg/駆動方式=FF/0.66リッター直3DOHC12バルブターボインタークーラー付き(64ps/6500rpm、10.5kgm/3500rpm)/価格=141万7500円(テスト車=同じ)
■
軽が変われば日本のクルマは変わる
もっとも、そんな余裕の出力のおかげで犠牲となったものもある。そう、燃費だ。今回、591.7kmの道のりを走りきるのに要したガソリンは48.13リッター。燃費は12.4km/リッターに留まった。これは4台の中で最低の結果。高速道路主体のルートは軽自動車には厳しいものだったのは間違いないが、それにしても16.8km/リッターを記録した1.0リッターのベルタとの差は大きい。ちなみにメーカー発表の10.15モード燃費は19.4km/リッター。燃料タンク容量が30リッターと小さいこともあり、4台の中で唯一、折り返し地点を過ぎたところで給油しなければいけなかった。
小さい排気量で小型車と変わらない動力性能を得ようとすれば、どこかに無理が生じるのは当然だ。昨今のこの手の高級軽自動車には、どうもこのような矛盾を抱えている例が多いように思える。この燃費にしてもそうだし、装備などの面で小型車並みをアピールしながら、クルマとしての肝心な走りに関しては「軽だからこれぐらいでいいだろう」と言わんばかりの部分が垣間見えたりという具合だ。
軽自動車が多くの人にとってクルマへの入口になっているのだとすれば、メーカーにはその自覚を持って、「クルマの運転って楽しいな」と思わせるような商品を生み出してほしい。そしてエコという観点においても、誰もが抱く軽自動車への期待に、しっかり応えてほしいと切に思う。今のままでは、たとえばベルタではなくワゴンR RRを選ぶ意味は、ほとんど見出せない。
厳しく書いたが、それも今のスズキが「スイフト」のようなクルマを作れるのだと知っているからこそのエールだと思ってほしい。ボリュームセラーのワゴンRが変われば軽自動車は、ひいては日本のクルマはきっと大きく変わるはず。奮起を期待している。
(文=島下泰久/写真=峰昌宏/2006年1月)
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