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ホットハッチなんて要らないでしょ? (スズキ・スイフトスポーツ)
(06.02.18)
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昔ながらのホットハッチという強烈な個性
スズキ・スイフトスポーツ(FF/5MT)
……172万2000円
評価の高いスズキのコンパクトカー「スイフト」に1.6リッターエンジンを搭載したのが「スイフトスポーツ」。足まわりにも専用のチューニングが施され、派手な内外装で飾ったモデルである。
■
オトナはちょっと気がひける
率直に言って見た目はちょっとなぁ……と感じてしまうのが「スイフトスポーツ」である。ベースとなったスイフトの、合理性を追求する一方、ディテールへのこだわりも貫いた結果として生まれた清廉で小気味良いカッコ良さが、エアロフォルムのバンパーやリアスポイラー、あるいはボディカラーを問わず赤で統一されたシート地の専用スポーツシート等々のスポーティ仕立てを目指した演出によって、スポイルされてしまっている感が否めないのだ。ボディカラーにも左右されそうだが、30代以上のオトナが乗ると、ちょっと気がひけてしまうかもしれない。
街中や高速道路を流しているような場面では、走りの味付けも、やっぱりなぁという感じである。一番の問題は乗り心地。いかにも硬いバネを入れましたとばかりにツンツン突き上げ、伸び側の抑えが効いていないのかヒョコヒョコと身体を躍らせる様は、まるで昔ながらのホットハッチ。常に目線が上下に泳いで、じわじわと疲れが溜まっていく。
一方、最高出力125psを発生するエンジンと5段マニュアルギアボックスの印象は悪くない。野太いサウンドを伴った回転フィーリングは、キレ味鋭いというほどのものではないが、低中回転域にしっかりトルクが詰まっていて、1060kgと軽いボディをグイグイ加速させる。クロースしたギア比、ショートストロークの心地よいシフトタッチも、好印象をもたらす要素である。
古典的な乗り心地に若干腰を痛くしながら、ようやく到着したワインディングロードで徐々にペースを上げていくと、スイフトスポーツはさすが水を得た魚といった振る舞いを見せた。まず感心させられたのがステアリングの応答性の良さで、ロールを最小限に抑える一方、いたずらにゲインを高めたりしていないため、非常に素直に、そして思うままにノーズをインに向けることができる。掌に伝わる接地感も十分だ。
【スペック】
メーカーセットオプション装着車:全長×全幅×全高=3765×1690×1510mm/ホイールベース=2390mm/車重=1060kg/駆動方式=FF/1.6リッター直4DOHC16バルブ(125ps/6800rpm、15.1kgm/4800rpm)/価格=172万2000円(テスト車=同じ)
※メーカーセットオプション
●ディスチャージヘッドランプ[Hi/Low切替式、オートレベリング機構付]/●レカロシート(フロント)/●SRSカーテンエアバッグ●フロントシートSRSサイドエアバッグ/●可倒式アシストグリップ(運転席)
■
古典文法に則った乗り味
けれど、さらに攻め込んでいくと気になる部分が顔を覗かせはじめる。一番に挙げるべきは、やはりリアのスタビリティの低さだろう。真冬で路面温度が低かったということはあるが、ややオーバーサーボ気味のブレーキが多めに残ったままターンインすると、とにかくリアが滑りまくる。おっとっととカウンターステアを当ててやれば、速度が知れていることもあって車線の中ですぐに止まりはするし、タイヤ本来のグリップ力を発揮できる環境ならば、楽しめる操縦性と言えるのかもしれないが、それでも今回の他の3台では、まったくそんな動きは出なかっただけに、やや演出過剰とも感じた。ちなみにスイフトは、スポーツならずとも同様の傾向にあるから、単にセッティングだけの話ではないのかもしれない。
エンジンも、基本的にはパワフルな印象なのに、全開で引っ張るような場面では、7000rpmまで到達する前にリミッターがきいてしまうのが惜しい。鍛造ピストンや硬度アップしたクランクシャフトなど、こだわりのパーツを使っていることは、リミッターに当たる瞬間まで、もっと回りたそうな勢いを感じさせてくれることから伝わってくるのだが、それだけに突然のリミッター介入には、ホットに突き抜けたいのに、寸止めを食らったような気分になってしまうのだ。
ホットハッチといっても乗ってみると大人っぽい印象のモデルが増えている昨今だけに、スイフトスポーツの古典文法に則った乗り味には、はじめは面食らう。しかし、それもひとつの強烈な個性。特にワインディングロードでの走り応えの濃さは、大いに魅力と言うこともできるだろう。
ただし、それでも注文をつけたい箇所はある。まず内外装はもう少し洗練させてほしいし、エンジンはもっと上まで回るのを許容してほしい。そして何より、シャシーにはぜひ解除スイッチ付きのESPを付けてほしいと思う。サーキットなどではオフにしてその走りを存分に楽しめるようにする一方、普段は、特にドライバーがホットハッチ初心者であっても、怖い思いをせず楽しめるよう配慮してほしいのである。
何だかんだ言っても、この価格でここまで楽しめる要素のあるホットハッチなんて、ほかにはないのだから。
(文=島下泰久/写真=高橋信宏/2006年2月)
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