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ルーキーはコレを買え! (フォード・フィエスタ)
(06.04.20)
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ゼイタク? いや、本物を知りたいならこれが近道
フォード・フィエスタGHIA(FF/4AT)
……196万円
輸入車なんて、一昔前なら最初のクルマとして選ぶなど考えられない存在だった。しかし、今はコンパクトカーなら200万円以下のプライスタグがつく時代。世界基準を知りたいなら、十分あり得る選択なのだ。
■
地味めな存在に濃厚な魅力
最初のクルマとして輸入車を選ぶなんてゼイタク過ぎるとは思うけれど、最近では200万円以下の比較的手頃な価格で手に入るコンパクトカーの数も多いから、ちょっと背伸びして、あるいはローン回数を増やして、最初からその世界に踏み込んでしまうのも、大いにアリだろう。どうせいくらかのお金を払うなら最初から本物が欲しい、あるいは世界基準を知りたいというなら、結局はそれが一番の近道かもしれない。
そんなビギナーにオススメできる輸入車として選んだのは、「フォード・フィエスタGHIA」である。確かにフィエスタは、数ある輸入車たちの中では地味めな存在であることは確かだ。けれどもその代わりに、わざわざ輸入車を選んだ甲斐があったと思わせる濃厚な魅力が備わっていること請け合いである。
その例として挙げるべきは、まずは走りということになる。フィエスタの走りは、言ってみれば小型車の教科書みたいなもの。これを知ることは、世界のレベルを知るということとイコールだと言っても過言ではない。
たとえば、手応えにこだわって電動モーターではなく電気で作った油圧によってアシストするパワーステアリングは操舵力がやや重めだが、その代わり掌に路面状況その他の情報をありありと伝え、そして操作に対してきわめてリニアに応答してくれる。ボディのガッチリ感も一級品。その重厚感は、まるで大きなサイズのクルマを操っているかのようだ。
エンジンだって排気量1.6リッターで最高出力は100ps、組み合わされるのもフツウの4段ATでしかないのに、加減速はまさに意のまま。余計な演出などなくアクセル操作に応じて忠実に力が出るため、クルマが勝手に速いのではなく、速く走りたい時は速く、ゆっくり行きたい時はゆっくり走らせることが容易にできる。
【スペック】
全長×全幅×全高=3925×1685×1445mm/ホイールベース=2485mm/車重=1130kg/駆動方式=FF/1.6リッター直4DOHC16バルブ(100ps/6000rpm、14.9kgm/4000rpm)/価格=196万円(テスト車=同じ)
■
世界のスタンダード
切れば切った通り、踏めば踏んだ通り、ドライバーの意思に忠実に動くなんて当たり前だと思われるかもしれないが、そんなクルマは実はこの世では少数派。フィエスタに乗ると、それがよくわかる。それと引き換えに、たとえば件のステアリングをはじめ操作系は全般にやや重めだし、室内に入ってくるエンジン音あるいはロードノイズも小さくないのだが、一度そのずっしりと濃厚な味を知ってしまうと、ハウス栽培の野菜のように色や形はきれいでもどこか味気ない大半の日本車が、どうにも物足りなく思えてしまう。
ヨーロッパフォードは、良いクルマをリーズナブルに提供するブランドとして親しまれており、いわゆるプレミアム性をウリにする存在ではない。そう、言ってみれば皆のアシなのだが、そんなフォードのベーシックモデルにして、これだけ質の高い走りを披露するんだという事実は、仮にそれまでの経験が日本の教習車だけだったりしたら相当なショックだろう。けれど、それを身をもって知っておくのは悪くない。
しかも嬉しいことに、マイナーチェンジを受けてこのフィエスタ、外装の地味過ぎる存在感やチープなインテリアといった懸案事項がしっかり改善されている。特にインテリアのクオリティは、従来は日本の軽自動車にも負けていたが、現行モデルはとりあえずガッカリさせられるようなものではなくなった。装備の充実ぶりもライバルを上回っており、今やクルマ通だけでなく、フツウに誰にでも積極的にオススメできる内容を持つに至っている。
世界のスタンダードであるフィエスタのようなクルマから始まるクルマ生活は、きっとアナタのクルマを見る目を、大いに養ってくれるに違いない。ただし、ひとつだけ覚悟はしておいてほしい。それは、あまりにハイレベルな原体験のおかげで、あるいは二度とナマクラな日本車には乗れない身体になってしまうかもしれないということである。
(文=島下泰久/写真=高橋信宏/2006年5月)
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