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めちゃ♥ モテ「ブレラ」の謎を解く (フォード・フォーカスST)
(06.05.19)
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ブランド性を飛び越える、強烈な色気
フォード・フォーカスST(FF/6MT)
……320.0万円
まるで「アルファ・ブレラ」とキャラクターが違う「フォード・フォーカスST」が土俵に上げられた。ヨーロッパフォードが送り出すハイパフォーマンスモデルが持つ、「ブレラ」に勝る色気とは?
■
望むとおりにグイグイ曲がる
「ブレラ」と「フォーカスST」のどちらにするかで迷っている、なんて人はきっと誰もいないと思う。けれど、もしブレラに惹かれる理由のうち、走りへの期待という部分が大きなウェイトを占めているのであれば、少なくともマニュアルシフトに抵抗は無いわけだし、この新しいフォーカスST、せめて味見してみてほしい。
そもそも走りには定評のあるフォード車の中でも、特にそこをクローズアップした存在のフォーカスSTだけに当然と言えば当然だが、そのハンドリングはきわめて完成度が高い。いや、そんな冷静に評せるようなものじゃない。とにかく驚かされたというのが率直なその走りの印象だ。素晴らしい走りのクルマには何台も出会っているが、それが驚きというレベルにまで達したのは、果たしてどれぐらいぶりだろう?
何より衝撃的なのは、恐ろしいほどの回頭性の鋭さだ。電動油圧式のパワーアシストによって路面感覚を大事にしたステアリングを切り込むと、決して軽くはないはずのノーズがグイグイとインに引き込まれていく。ゆっくり舵角を増していっても、あるいは一気に切り込んでも、相当なペースまでタイヤをキュルッとも鳴かさないまま、望んだどおりにグイグイと向きが変わるのだ。
しかも、それはリアのスタビリティを落として演出されたものではなく、むしろ逆。後輪が執拗に足を伸ばして路面をとらえ続けているからこそ、ここまでフロントの応答性をシャープにしても破綻しないのである。歯を食いしばって攻め込めば、リアを軽く滑らせることもできるが、その動きもきわめて漸進的。コーナリングスピードの高さには緊張するものの、クルマの動き自体は非常にリニアで、安心感に満ちているのである。
■
速さにも全く文句なし
さすがにパワーが有り余るほどあるせいか、いつもなら何も起こらないはずの高速コーナーでも、頻繁にESPが介入して外側前輪のスリップを抑制しようとする。それを嫌って、途中からはESPを切って走らせてもみたのだが、最終的にはもちろん前後輪とも滑り出すものの、その安定感にはいささかも変化は無かった。ようするに、電子制御の力の前に、シャシー自体の安定性が際立っているのだ。
このハンドリングには本当に唸らされた。ここまでシャープで、ここまで懐深くコントローラブルで、さらにはここまで乗り心地の良いハイパワーFWDは、今まで体験したことが無い。あのゴルフGTIの挙動が粗野に思えるほどだと言えば、その驚きをある程度は想像してもらえるだろうか。
一方、グループのボルボから基本部分を流用して仕立てた直列5気筒2.5リッターターボユニットは、圧倒的なパワーや中速域での伸び感はヤルなと思わせるものの、トップエンドで明確に伸びが鈍るのが惜しい。しかし、軽く踏み込んだ時点からかすかに聞こえ出すヒューンというタービンノイズは気持ちを昂揚させるし、何より速さ自体まったく文句無いどころか、恐れ入りましたとひれ伏したくなるほど。フィーリングだ何だと言っている前に次のギアに入れなければならないんだから、これで不満を言うのは野暮というものだろう。6段MTのシフトタッチは今ひとつカチッとしていないが、作動自体は確実で、まったく問題は無かった。
【スペック】
全長×全幅×全高=4370×1840×1455mm/ホイールベース=2640mm/車重=1430kg/駆動方式=FF/2.5リッター直5DOHC20バルブターボ・インタークーラー付き(225ps/6000rpm、32.6kgm/1600-4000rpm)/価格=320.0万円(テスト車=同じ)
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乗ったらグラッとくる
試乗車の美しいパフォーマンスブルーにしろ特別色のエレクトリックオレンジにしろ、ボディ色は鮮烈で結構目をひくし、それとカラーコーディネートしたレカロシートを装着するインテリアの雰囲気も悪くない。そういう意味で、これまでのフォードに期待できなかった艶めいた部分も持っているように思えるフォーカスST。
だが、それよりやはりこの走りっぷりこそが、漂う色気のようなものの一番の要因であることは間違いない。フォードの、特にSTシリーズはどれも良いクルマだが、このフォーカスSTは、それを突き詰めた結果として、単なるいいクルマには収まらない味わいを醸し出すに至った。きっと、そうした色香などというのは、過剰だったり贅沢だったりというところから匂い立つように出てくるものなのだろう。
そんなフォーカスSTには、クルマのことを何も知らない人でも、何かイイのに乗ってるなと思わせるだけの力があるように思う。この内容で、というかこの存在感で320万円という価格は、ブレラと較べてもそうだが、それ以前に絶対的に安過ぎる。走りが好きで何となくブレラを……と思っている人は、もし乗ったらかなりグラッとくるんじゃないだろうか。その走りには、ブランド性云々を飛び越える、強烈な色気がある。
(文=島下泰久/写真=峰昌宏/2006年5月)
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