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めちゃ♥ モテ「ブレラ」の謎を解く (レクサスSC)
(06.05.20)
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ため息がでてしまう日本車
レクサスSC430(FR/6AT)
……680.0万円
個性という部分では苦手な日本車からは「レクサスSC430」が選ばれた。設計が古いクルマながらも、そのビジュアルはいまだ「ブレラ」同様に視線を集めたのだった。
■
“落ち着いていない”オトナ向け
日本車で色気を感じさせるクルマを挙げるとしたら、この「レクサスSC430」の右に出るものは無い。しかもSCのそれは、ブレラの持つ“ちょいワル(もはや死語化中?)”な人たちにハマリそうな肉食っぽさとは違って、もっとたおやかでオトナな感じが漂う。それは優美なスタイリングのおかげでもあるだろうし、レクサスというブランドの力でもあるだろう。
事実、このクルマも乗っていると珍しく熱い視線を集めるのだが、それを送ってくるのはブレラの時よりも明らかに年齢層の高い方々である。まだイイ意味で“落ち着いていない”オトナが乗りたいと思えるクルマは、日本車にだって必要だ。
インテリアも目に見えて高級なセミアニリンレザーのシートやトリム、すべて天然木となるパネル、無垢材削り出しのステアリングホイールやシフトノブなど、これでもかとばかりに贅沢な素材が使われている。眺めていると思わずため息が出てしまうほどである。
しかし、それだけに残念なところもちらほら目につく。エンジンスタートはプッシュ式の他のレクサスとは違って昔ながらのキーをひねる方式だし、メーターパネルのレタリングもトヨタのまま。ナビも古いしエアコンやオーディオの操作系も高級感を欠いている。新生レクサスの旗艦なのだから、コストがどれだけかかろうが、ここは全部やり直しするべきだったんじゃないだろうか。
■
根本的な改良が必要
残念ながら走りっぷりも、内外装の色気にハッキリと負けている。まず感じるのが、路面の細かな凹凸をいちいち拾って、乗り心地に落ち着きが無いこと。最初はランフラットタイヤなのかなと思ったが、試乗車は違っていた……。もっと、しっとり落ち着いた感じがほしい。また、特に高速域での直進性が乏しいのも気になる。ステアリングを真っ直ぐにしていても、絶えず進路の微調整が必要なのだ。
ほかにも、手応えの希薄なステアリングが、切ってから反応するまでに明らか過ぎるタイムラグがあって非常におっかなかったり、大きな段差を乗り越えるとグシャッという安っぽい音と振動が伝わってきたりと、気になるところは山ほどある。「トヨタ・ソアラ」から「レクサスSC」になるにあたって、ATの制御や足まわりに手が入れられて、それはきちんとポジティブな効果をもたらしてはいるのだが、おそらくはボディ剛性など、やはりもっと根本的な部分で改良が必要だと言わざるを得ない。
走りに関して見るべきところがあるのは、極端な話、V型8気筒エンジンの息吹を感じるスポーティな手応えくらいのものだ。ほかには、思わず「いいねぇ」と唸ってしまうような部分はまったく無く、まあ何とか走るというくらいである。しかし、高級だとか贅沢だとか色気があるだとかというものを醸し出すには、最低限のことはできていますというだけではダメなのだ。世のほかの高級だ贅沢だ色気があると言われるクルマを見回してみれば、それはわかるはずなのに……。
【スペック】
全長×全幅×全高=4535×1825×1355mm/ホイールベース=2620mm/車重=1730kg/駆動方式=FR/4.3リッターV8DOHC32バルブ(280ps/5600rpm、43.8kgm/3400rpm)/価格=680.0万円(テスト車=同じ)
■
存在感に見合った進化を
こんなふうに、乗っているとまた違った意味で溜息がこぼれてしまうSC430だが、クルマを停めて外に出て、ちょっと離れてから振り返ってみたりすると、もうダメ。さっきまでの不満はどこへやら。「やっぱりいいねぇ〜」と変節しかけている自分に気付く。乗っている時も、熱い視線に「こんなカッコ良いSC430に乗っちゃってるオレを見て!」という気分になって、正直カナリ気持ち良かったりする。ようするにそういうクルマなんだと思えば、それはそれでまあいい……なんて言っちゃいけないのかな?
クルマとしての本質の部分でも、その存在感に見合った進化を果たしてほしいというのは今後に向けて強く望みたいSC430。しかし、だからといって現状のこの存在感を否定なんてできやしない。これが僕の正直な気持ちだ。特に今回の試乗車のボディカラー、プレミアムライトイエローグリーンは格別。どうせSC430を買うならば是非こういう色を選んで、どんどん街に出てきてほしいと思う。ちなみにボディ色は12色が用意されている。内装やウッドパネルを含めたその選択肢の広さは大いに評価したい。
ともあれ、日本にもブレラに負けない存在感を放つクルマはある。繰り返すが、あとは走りの色気だけ。もっとも、それが日本車にとって一番難しいテーマなのは間違いないのだが。
(文=島下泰久/写真=峰昌宏/2006年5月)
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