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エンジンオイルの容器には、たとえば「10W-30 SL/CF」のような表示があります。これが何を意味するかというと……。
まず「10W-30」は「SAE粘度分類」と呼ばれるもので、これはSAE(アメリカ自動車技術者協会)が決めたエンジンオイルの粘度、すなわち硬さ/軟らかさの規格です。
エンジンオイルには温度が上がると粘度は低く(軟らかく)なり、温度が下がると粘度が高く(硬く)なる性質がありますが、これを数字で表したものがSAE粘度分類なのです。
「10W-30」を例にとって説明すると、左側の「10W」の「W」は「Winter(冬)」の略で、Wの前に付く数字が小さいほど気温が低くても粘度を失わない、軟らかいオイルといえます。
右側の「30」は、気温100度Cで測定したときのオイルの粘度を表し、この数字が大きいほど粘度が高い、硬いオイルといえます。
つまり左側のWの付いた数字が小さい(軟らかい)オイルほど低温時に強く、右側の数字が大きい(硬い)オイルほど高温下でも耐えるというわけです。具体的には前者は始動性、燃費などに、後者は高速性能、耐摩耗性などに優れているという特徴があります。
次に「SL/CF」ですが、こちらは「APIサービス分類」と呼ばれる、アメリカ石油協会(API)、アメリカ自動車技術者協会(SEA)、アメリカ材料試験協会(ASTM)の3団体が協力して定めたエンジンオイルの品質規格です。
「SL」の「S」は「Service(サービス)」の略で、ガソリンエンジン用の規格であることを意味します。「L」はオイルのグレードを表しますが、これは「A」からアルファベット順に、後にいくほど高級になります。現在APIによって認められているのは「SJ」と「SL」で、つまり「SL」は最高級グレードのガソリンエンジン用オイルというわけです。なお、2004年11月末にはさらに上のグレードである「SM」が発効する予定です。
スラッシュの後の「CF」の「C」は「Commercial(コマーシャル)」の略で、ディーゼルエンジン用の規格であることを意味します。「F」はオイルのグレードを表しますが、ガソリンエンジン用と同様に「A」からアルファベット順に、後にいくほど高級になります。現在の最高級グレードは「CI-4」ですが、日本の自動車メーカーの指定は主に「CF」「CF-4」となっています。
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エンジンオイルの容器に表示される規格/グレード。「0W-40」は粘度(硬さ/軟らかさ)、「SL/CF」は品質規格をあらわす。
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カーショップに行くと、様々なメーカーの、様々な種類のエンジンオイルが並んでいます。それらをじっくりと眺めていくと、どのメーカーの製品にも大きく分けて「鉱物油」、「部分合成油」そして「化学合成油」という3つのシリーズが存在することに気がつくことでしょう。
エンジンオイルは基本となるベースオイルに各種の添加剤を加えてつくられますが、「鉱物油」「部分合成油」「化学合成油」というのは、そのベースオイルの種類を指しています。
「鉱物油」とは、原油から精製された、現在もっともリーズナブルで普及しているベースオイルです。
これに対して「化学合成油」とは、原油を精製したナフサ(軽質ガソリン)などから化学合成された高級なベースオイルで、あらゆる条件下において安定した高性能を発揮します。
「部分合成油」とは、「鉱物油」と「化学合成油」を混合した、前者の経済性と後者の高性能をあわせ持ったベースオイルということができます。
ベースオイルは、クルマにたとえれば、まさにクルマそのもので、この素性がよくないと、オプションでどんなにいいマフラーやタイヤ(オイルの場合は添加剤)を組み合わせても高性能車にはなりえません。ベースオイルを性能順に並べると、上から「化学合成油」「部分合成油」「鉱物油」となりますが、当然ながら性能が高くなるにつれて価格も上昇します。
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モービルブランドには、化学合成油、部分合成油、鉱物油、ディーゼル専用オイルと、様々な種類がラインナップされる。
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エンジンオイルの主なはたらきは、「潤滑」「冷却」「密封」「清浄分散」「防錆」の5つです。
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潤滑
シリンダーとピストンリング、クランクシャフトとメタル(プレーンベアリング)など、金属同士が触れあう摩擦面に油膜をつくり、摩擦を減少させることで摩耗や焼き付きを防ぎます。
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冷却
ガソリンの燃焼、各部の磨耗よって非常に高温になるエンジン内部の熱を吸収し、発散します。
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密封
シリンダーとピストンリングの隙間に油膜をつくることで、圧縮や爆発時の圧力漏れを防ぎ、パワーロスを抑制します。
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清浄分散
不完全燃焼によって生じたカーボンやスラッジなどの汚れや不純物を洗い落とし、溶け込ませます。
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防錆
エンジン各部の金属の表面に油膜をつくり、燃焼によって発生する水分や有毒ガスによるサビや腐食から守ります。
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エンジンオイルは、どのような経路をたどってエンジン内部の潤滑、冷却、密封、清浄分散、防錆といった役割を果たしているのか、簡単に説明しましょう。
●エンジンの最下部に位置する、オイルパンと呼ばれる部分に溜められたエンジンオイルは、オイルストレーナーを通過する際に汚れや金属粉などの不純物を取り除かれたのち、オイルポンプで吸い上げられます。
●オイルポンプに吸い上げられたエンジンオイルは、エンジン内部の通路を通ってカムシャフトやバルブ機構、タイミングチェーン、クランクシャフトやコンロッドのベアリング、シリンダーとピストンリングの接触面、オイルポンプやディストリビューターの駆動ギアなどに圧送され、また一部は飛沫となって到達し、潤滑をはじめとする役割を果たします。
●エンジン各部で潤滑ほか仕事を終えたエンジンオイルは、油滴となったりエンジン内壁を伝わったりして再びオイルパンに戻ります。
以上の循環を繰り返すわけですが、経路の途中にオイルフィルターが設けられており、ストレーナーでは取り去れなかった不純物をろ過しています。
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エンジンオイルは、最下部のオイルパンからポンプで上部に吸い上げられ、自らの身を汚し、金属同士の摩擦をやわらげながら再びオイルパンに戻る。
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豆知識をアタマに入れたら、今度は実践。自動車雑誌『NAVI』の長期リポート車として活躍する「ルノー・メガーヌ2.0」に、モービル1の化学合成油「RP(Race Proven)」(0W-40 SL/CF)を入れてみました。
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新しく入れるエンジンオイルは、モービル1の「RP(Race Proven)」(0W-40 SL/CF)。これから秋、冬と寒い季節を迎えるため、軟らかめの「0W」を選んでみました。
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まずは古いエンジンオイルを抜く。方法は、重力に任せて下から抜く「下抜き」と、ポンプで上から吸い出す「上抜き」の2種類がある。よく使われたエンジンオイルは、コーヒーのように黒く汚れている。
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新しいエンジンオイルを注入。オイルはキレイな飴色をしている。
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エンジンオイル交換後の「ルノー・メガーヌ」をドライブするのは、『NAVI』長期リポート車担当の佐藤副編集長。
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「安心感は大事です」 『NAVI』副編集長 佐藤健
『NAVI』では、チョイ乗りの試乗ではわからない耐久性や信頼性などをテストする目的で、何台かの車両を長期的に使用、リポートしています。そのなかの一台が「ルノー・メガーヌ2.0」で、2004年8月に導入され、近所のお遣いから遠方での取材、試乗会まで、文字どおり東奔西走しています。
そのメガーヌが走行距離2300kmを超えたところで、オイルをモービル1の化学合成油に交換しました。取扱説明書には、最初のオイル交換は納車後5000km走行時点(または6ヶ月)と記してあります。したがって、やや早めのタイミングでの交換となりました。
交換後、心理的にはエンジンは軽く滑らかに吹けるようになりました。なぜなら、納車時に入っているオイルとは違って、性能や実績をよく知っているオイルだという安心感があるからです。こういう安心感は、特にクルマ好きにとっては大事だと思います。また、心理面だけでなく機械的なことを考えても、オイルはクルマの血液なのだから信頼できるものを入れるにこしたことはないでしょう。
今後は、オイル交換による変化を注意深く見守りたいと思います。
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