
●測位技術に懸けた努力、ここに実る
地デジチューナー標準装備モデルをいちはやくラインナップに加えるなど、ストラーダFクラスはその高い総合力が魅力的なカーナビだが、カーナビ性能のベースである測位に関しては、以前から力が入っている。
3DジャイロセンサーやGPS12chレシーバー等のデバイスに加え、SALASと名付けられた高精度補正システムや、大都市部の都市高速および主要幹線道において、道路データと検知した傾斜角データを照合してクルマの上下動を感知、高架上の高速走路とその下の一般道が重なり合っている場合でも、走行中の道路を正確に判別する上下道路傾斜判定機能を搭載。測位が困難な場所での位置精度の向上を図っている。
川崎の首都高速・羽田ランプに今回、設定したテストコースは、まさにストラーダの上下道傾斜判定機能が対象としている路線に含まれる場所。本機にとっては有利とも考えられるが、それだけに万が一ミスを犯すとストラーダの測位系全般の信用失態にもつながりかねない。もしストラーダが人間だったら、相当なプレッシャーを感じたことだろう。
後半も終始正確。最後に高速に乗り込んだときには自信満々といった感じで高速への進入路に自車マークを表示してみせた。測位結果には文句のつけようがない。
ただ、本機の自車位置表示は、この場所に限らず、やや落ち着きに欠けるところなきにしもあらず。路面にぴたりと吸い着いたような表示になれば、安心感、信頼感ともに格段に向上するに違いない。
●鋭さはないものの手堅くまとめた印象
クラリオンのカーナビは、従来のアゼスト時代から、大向こうを唸らせるような見栄を切ったり、派手さをアピールすること皆無の質実派の代表旗手。使いやすさをモットーに、少しずつ着実に性能を高めてきた。測位に関しても、尖鋭的な性能を狙うことなく、実用に徹した仕様という印象が強くする。
こうした手堅いつくりの積み重ねが功を奏したといっていいだろう、今回の上下道判別性能を主眼とするここ羽田ランプ周辺でのテストでは、過不足のない性能を発揮してみせた。
コース走行の初めの部分。ここは首都高速が高架になっていてGPSが受信しづらく、しかもその状況で側道をクランク状に走らなくてはならず、真上には首都高速が待ち構えているため、ともすると誘引されがちになる。
かつてのナビは、こうした場所で誤測位を起こすものが多かった。最近のナビはしかし、上下道判別能力が向上。MAX960HDも、高速に誘引されることなく、この場所を通過。その後、頭上の首都高速から少し離れる部分でも的確に自車位置を表示。続いて高架に沿って東進するところも、他の一部機種のように高速に乗ったり南側の一般道に飛ぶといった誤測位は起こさなかった。
画面には入っていない北端部における方向転換も、まったく問題なし。コースの後半、穴守稲荷近辺の走行や羽田入口への進入およびその後の走行も的確だった。
このように羽田におけるMAX960HDの測位は満足すべき結果を残したが、敢えていえば走行中の自車マークが時折、やや安定感に欠ける動きを見せることがあった。今回の成績に水を差すわけではないが、そのあたりが改善されれば、ドライバーの抱く安心感、信頼感はいちだんと大きなものになるに違いない。
●期待が大きいだけにひとつのミスも目立ってしまう
ライバルに先駆けて3Dジャイロセンサーや高速マップマッチング技術等を投入するとともに、ソフト面でも膨大なノウハウを持つカロッツェリアの最高位モデルだけに、この地点のような測位はお手のもののはず。首都高速・羽田ランプ付近のこの場所は、従来モデルでも何回か走行しているが、そのたびに完璧に走り切っている。
その測位性能は、以前からのとおり、まったくもって高い水準にある。とりわけ近年のサイバーナビは、道に乗せることはもちろんのこと、実車が駐車場等に入ったときに正確に“道を外す”能力もきわめて高く、道路上にいようがいまいが、自車位置の表示精度に関しては抜群の信頼を寄せることができる。
道を外れた場合の位置情報が、次なる目的地に向かう際に的確な案内ルートを引くために不可欠な要素であることは言うまでもないだろう。
上方を首都高速とグラウンドレベルの一般道を識別しながら走る必要がある、ここ川崎でのVH009は、いつもどおりに安定しきった測位ぶり。優れたサスとタイヤを備えたクルマがいかなる路面でも捉えて走るように、地図をグリップして走っているかのような印象すらある。
しかし今回は、どうしたことか平凡な場所で、ごくわずかなミスを犯した。掲載画面からは外れているが、一般道を北上する場所で少し行き過ぎて街区内を走行し、ほどなく正しい位置に復帰した。その後はいつもどおりの正確な即位を行なってみせたが、これは“らしからぬ”結果。マニアから“測位マシーン”の異名で呼ばれるサイバーナビでも「上手の手から水がこぼれる」ことがあるということなのだろう。
上下道の識別に関しては、まったく文句のつけようがない出来だった。
●ミスしても素早く復帰する対応力
ケンウッドのナビには、軌跡表示機能が搭載されていない。長年にわたってナビを使い続けている人でも、自車の軌跡によって大きなメリットを得たというケースはほとんどないことだろう。
こうした点からすると、手軽に使えることを前提に開発された本機HDV-770が軌跡表示機能を外したのは頷けないことではないのだが、ここで足取りをお目にかけられないのは残念。ここでは、コース走行時の概容と印象を御紹介しよう。
コースの走り始め、首都高速下の側道状の一般道をクランク状に走り、続いて首都高速に乗るかと見せかけて実は側道に進入する部分。ここでは、なかなか安定した測位ぶり。地図が簡素で描き込みが不足がちのつくりであるため、リアリティに欠けるところがあるのは事実だが、測位そのものはあまり問題になる部分は見られなかった。
続いて、首都高速から少し離れて右折する地点。ここでは、画面表示系の関係なのか、少しばかりぎこちない動きを見せたものの、的確に旋回して高速沿いの道に進入。そのまま東進を開始したが、少し走ったところでいきなり高速に吸引され、さらに南側の側道を走ってしまった。
この現象はごく短時間で終息、すぐに高速北側の正しい位置に復帰したが、やや残念な結果ではある。東端部での北への針路変更時、実車と自車マークの前後距離のずれはないかと注意したが、そういった現象は皆無。ミスを起こしても素早く回復する復帰性能に優れたナビのようだ。
測位重視モデルのようにはいかないが、こうしたかなり困難な状況下でも、実用を損わない性能は確保していると判断していいだろう。
後半は大過なくコースをトレース。道を捉えて離さないといった安定感には欠けるところがあるものの、危なげない測位性能を発揮した。
●今年も見られたオーバー傾向
カーナビは、自車の位置と方位を示すロケーターと、地点検索から目的地までの誘導を行なうナビゲーターの、大きく分けて2種の機能から成り立っており、いずれにウエイトを置くかその基軸の据え方は各社各様だが、イクリプスのカーナビは明らかに後者のナビゲーター指向。ロケーター機能を重視していないわけでは無論ないのだが、両者を比較すると目的地に導くという側面に重きが置かれている。
カタログ等の資料を見ても、検索やルート案内などに関しては丁寧に説明しているのに対し、測位系についてはほとんど触れていないことからも、そのスタンスをうかがい知ることができる。
このような性格を持つイクリプス・ナビゆえというわけでもないだろうが、ここ羽田ランプでのテストはいまひとつという結果に終わった。自車マークの動きは、鈍重でもなく、さりとて軽々しくもなく、的確に方向を変えて道をトレース。バランスのよいところを見せたが、高速沿いに北側の側道を走る途中でミスコース、ごくわずかな距離ながら高速南側の道に飛び移って走行。その後ほどなく正しい位置に復帰したものの、その直後に実車より自車マークが先走りするオーバー状態に陥り、クルマが追いつくまでマークが足踏みするという現象が発生した。
その後はまったく異常なく、高速への進入も正確にこなしたが、上記の2点においてやや問題を残す形となった。このオーバー傾向は、以前から同ブランドのナビに時折見られたもので、今回の走行でもそうであったように正確な位置に復帰するのが比較的早いため、事実上はまず問題はないものと思われるが、他の機能、とりわけルート探索や案内性能が優れているモデルだけに、やや惜しまれるところではある。





